プラハ放送交響楽団来日公演
スメタナ 交響詩「わが祖国」より「モルダウ」
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
ドボルザーク 交響曲第8番「イギリス」
アンコール ドボルザーク スラブ舞曲8番、15番
指揮 オンドレイ・レナルト
月が変わり、今年の後半戦が始まる7月1日、県のコンサートホールまで、プラハ放送交響楽団の演奏会を聴きにいってきた。
曲目は超有名どころの、モルダウ、運命、ドボ8。すべて2回以上弾いた経験曲であります。
こういう曲は、舞台後方のP席で聞くと、まるで自分もいっしょに演奏しているようなスリルを味わえて楽しい。
弦楽器の音が少々聞こえづらいが、指揮者の顔が見えるし、弦楽器奏者や打楽器奏者の手もとが見えるしで、オケの実情がよーくわかる。表紙が黄ばんで使い古し感満載の譜面も過去の積み重ねを感じるなぁ。
ここのオケはどうだったかというと、パートまたはセクションごとの個性が強そうな感じがした。アグレッシブなバイオリンとトランペット、まったり組のびよらにポザウネ隊、鍼灸師がツボに針を刺してゆくように、的確な場所を見抜いてくさびを打ち込む打楽器隊。センスの良さが光る木管楽器。木管群の音感の素晴らしさは、「モルダウ」の月夜のシーンの入り口、音を積み重ねて和音を作る時が見事すぎてゾワゾワするレベルだった。
音楽の方向性としては、歌うべき旋律はきっちり歌い込む。けっしてテンポは緩くないけれど、自然な流れに乗って歌ったり陰影をつけたりできるところが、アマチュアとの決定的な差だなあと思う。(もちろんピッチやリズムの正確さは言うまでもなく)
暴走して崩れかけても、集合ポイントできっちり合うのも安心感があってよい。たとえば、「運命」の3楽章から4楽章へ続くアタッカは勢い余って崩れて当然な場所だが、4楽章に入って2小節目にはちゃんと新しいテンポが出来上がってるんだからすごい。クールな表情でティンパニを叩くお兄さんがリズムの手綱をしっかり握っているというのが何気に萌えた。
ドボルザークでも同じことで、暴れている時も歌う時も、ちゃんと引き締め役がいてコントロールが効いているから、安心して音楽に身を浸せる。
暴れているといえば、ドボ8の4楽章や「モルダウ」の激流の箇所やアンコールのスラブ舞曲を聞いて感じたのだが、向こうの人(この場合は東欧の人)は荒々しいリズムが好きだし、うまいね。イタリアやフランスの軽さとはぜんぜん違う種類のノリだし、ドイツのともすれば野暮ったくなる固いノリとも違うし、やっぱりご先祖様は騎馬民族なのか、と思わせる野性味がある。
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