リハーサルの翌日は朝9時半に集合してゲネプロ~昼食タイム~本番~打ち上げ。
今回のプログラム
シベリウス:カレリア組曲
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
ブラームス:交響曲第1番
アンコール
シベリウス:アンダンテ・フェスティーヴォ
ブラームス:ハンガリー舞曲第6番
ゲネプロなので、曲順にほとんど通しで弾き、問題のある箇所だけちょこちょこ修正。この時はなかなかいい手応えだった。「ロメオとジュリエット」の早弾きの音階だって何とかなりそうな予感がしたのだ。
しかし、ゲネがうまくいくと本番でごにょごにょ……というジンクスをあちこちで耳にしている身としてはどことなく落ち着かない。
余計な心配をしていても仕方ないので、体力補強とばかりにお昼はコンビニで買った塩カルビ弁当を食す。(栄養ドリンクはなぜかあとで頭痛に襲われるのでやめ)
実は、今回のプログラムは体力的にかなりしんどい。カレリア序曲は軽いノリなので身体を温めるのにちょうどいいとして、次のロメジュリは、あの悲劇をほんの20分で表現しなくてはいけないので、激しいところは思い切り激しく、甘い旋律は思い切りロマンチックに弾いて、最後は悲劇の恋人たちといっしょに燃え尽きなくてはいけない。その次が、あの重たいブラームスの1番。メインディッシュに例えるならステーキのバターソース添え。うぅ。
さらに
デザートアンコールが2曲。シベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」とブラームスのハンガリア舞曲第6番。
冷静に考えると弾くのも大変だけど、聞くほうもお腹いっぱいになりそう。
で、本番はどうなったかというと、まずロメジュリで暴走しました。_| ̄|○
弾いている時は気がつかず、どうしてこんなに指が回らないんだろう、疲れたのかと思っていたが、楽屋に戻ってから他の人に話を聞いて見るとかなりテンポが上がっていたらしい。つまり弾けなかったのは自分だけでなく、弦全体が崩れかけてしまったので金管もうまく乗れない。情けないロメオとジュリエットになってしまった。
15分の休憩後、気を取り直してブラームスに取り組む。4楽章の途中までは無我夢中で弾いていたが、4楽章の後半に入ったところ、再現部が複雑に展開していく辺りで異変に気がついた。バイオリンとチェロ-ビオラがかみ合っていない。互いに1/4拍はズレてる。一瞬血の気がひいた。コンマスと指揮者の顔色をうかがったものの、どうしようもない。結局、弦楽器がそろって和音を鳴らす場所に至って強引ながらも辻褄合わせができた。
面白かったのはそれからだ。はからずも音楽が自力で動きだしたという手応えを感じた。どのパートも暴走寸前なのだが、ギリギリのラインで周りと合わせ、持ちこたえているという空気。そのままフィナーレへGO! で、最後は熱かった。
もし「熱演」という評価をもらえたならば、一度(とは限らないが)崩れかかったからだろうな。
COMMENT
いざ本番(その1)
お疲れ様でした。
Re:いざ本番(その1)
本番にて(その1)
>もし「熱演」という評価をもらえたならば、一度(とは限らないが)崩れかかったからだろうな。
ものすごく腑に落ちました。
今年の私が出た演奏会もまさにそういう状態だったような・・・。
お客さんにはとても喜んでもらえたのですが、演奏している側としては切れかけた綱の上を全員で走って渡ったような気分でした。
そして全員でゴールイン。あまりにも状況が似ていて、大量の冷や汗と熱い演奏が想像できます。
Re:本番にて(その1)
猫田さんも同じスリルを味わったことがあるのですね。
>切れかけた綱の上を全員で走って渡ったような気分
まさにそれです! (>_<)
演奏していて冷や汗をかく瞬間は時々ありますが、するとかえって緊張感が生まれて熱演に聞こえるのが音楽の不思議ですね。ノーミスの状態でこの緊張感が生まれればと思うのですが、それができたらほとんどプロです。
欧米の演奏家は練習嫌いが多いそうですが、それは練習しすぎて本番で緊張感を失う危険を恐れているからかもしれません。