ネットでの配信が終わってしまって、少しさびしい「
RD 潜脳調査室」。あれほど面白い視点を提供してくれ、なおかつ一話ごとのクオリティが高いアニメシリーズは、今後もなかなかお目にかかれないだろうと思う。
で、結局あの作品は何だったのだろう。
最初に「メタル」という設定を知ったときは、電脳社会を舞台にした社会派バリバリの話なのかと期待した。
ところが、ふたを開けてみれば、日常の人と人との直接的なふれあいを取り上げた話が多い。しかもメタルの問題点を浮き彫りにするような。
ああ、電脳社会の次を目指しているんだと思った。というか、電脳社会を否定して自然回帰に走るのかと思ったら……?
で、この作品が打ち出した答えは――ネットワークシステムと「地球」という生命体の融合。(これが成り立つには、地球全体をひとつの生命システムと見なすガイア理論が前提だけども)個別の生命同士をつなげる媒体は「水」。水の集合体である海は巨大なデータベースあるいはサーバーといったところか。
やっぱりすごい発想だな。実現可能か不可能かは別にして、自然と人工物(=人間)を対立するものではなく、統合されるべきものとして見る視点が面白い。
こうしてふりかえると、久島と波留は別として他のキャラはこのテーマを演出するための小道具で、別に誰でもよかったのかもしれないと思えてくる(視聴者の受けさえよければ/汗)。特にミナモちゃんがそう。彼女があそこまで天然直感少女である必要はないような気がするし、彼女の波留への思いは、あくまでストーリーを盛り上げるための道具だったかな?と思う。それより、ソウタとホロンの関係のほうがよほど重要だ。自然と人工物の融合という意味で。
そして言うまでもなく久島は人工の海、波留は自然の海を代表するキャラクターだ。人工の海は自然の海を求め、年老いた(破壊されかかった)自然の海は人間の力を借りて蘇る。それが波留の若返りに象徴されているのかもしれない。
COMMENT
結局RDって?
以下まとめてコメントです。
>バリバリのSF→ファンタジーにすり替え
うん、これに一番近いですね。
>電脳社会の次、自然と人工物の融合
なるほど、そう捉えれば納得できますね。人類未到の領域にいどんだ挑戦は評価します。←偉そう
攻殻の次を行く作品としてはこうなるのでしょうね。久島がメタルの海に溶けてしまったのは草薙素子ぽいですが。すると波留さんはバトー?
>久島が実は主役
そうでしょうね。私もすっかりやられてしまいましたよ。これじゃ___の餌食になってもむべなるかな。OTL
「50年待った」の結果が「いつでも会える」て、そんなの切なすぎ・・・。でも久島本人は本望&満足なのでしょうね。波留さんが来るのを確信してあれこれ用意してたのがまた。
久島がソウタ父に託した役割をずっと深読みしてて期待してたので、潜水服かよ?!とツッコんでしまいました。引っ張りすぎたらこうなる典型?
惜しむらくは、半年放映で、全体に説明不足だったことですね。特にジュタの森以降の、本編ともいえる後半。
タカナミ書記長&ジェニー・円の悪役(?)も、結局この二人何だったの??とすっきりしません。敵役でも感情移入できれば私はそれで良いのですが、圧倒的に情報不足で二人が見えてきませんでした。やっぱり一年くらいかけてときどきはこの二人を丹念に描いて、伏線作っておいてほしかったなぁ。
Re:結局RDって?
>すると波留さんはバトー?
なんというか今回は久島がバトーも素子も兼ねてしまって、美味しいところを全部持っていった感じです。___でなくても食指が動きますってば(汗)。
>波留さんが来るのを確信してあれこれ用意してたのがまた。
そうなんです。波留用の義体に入った久島が偶然(?)ミナモと話をする回がありましたよね。(20話:その足で)あの話がたまらなく好きで、もしも公式サイトで1話だけ無料でお持ち帰りができるとしたら、迷いなくこの20話にします。
>久島がソウタ父に託した役割をずっと深読みしてて期待してたので、潜水服かよ?!とツッコんでしまいました。引っ張りすぎたらこうなる典型?
あはは。確かに! てっきり久島の後任はソウタ父だと思っていたので、ちょっとがっくり。
>惜しむらくは、半年放映で、全体に説明不足だったことですね。特にジュタの森以降の、本編ともいえる後半。
うんうん。このシリーズは寄り道が本編かと思えるぐらいでいい出来栄えだったのに、本筋がはしょっていて残念。ジェニー・円も書記長ももっと前から少しずつ登場させて伏線を張るのは充分可能でしたからね。環境分子についても同じ。地球律の正体の説明はラストで久島が語っているだけだから、理解が難しいし。
でも一番納得できないのは、久島が人魚姫になっちゃったことかな。最後までSFで通して欲しかったです。