今年の12月は第九で始まった。他所様のオケで弾いているせいか、いつも以上に緊張するステージとなった。まずはリハの様子から。
隣県のK市には、それはそれは立派な芸術創造センターがある。オーケストラやブラスバンドが心置きなく練習できる部屋があるのはもちろん、演劇の練習場もあれば、小さな個展を開くスペースもあるところ。
管理人が毎週のように通っていたのも、ここの練習スペースで、行くたびに、見事な外観、お洒落れで便利なロビーに羨ましさを隠し切れないのだった。
第九の本番もやはりこの施設。「宇宙(そら)のホール」という名の大ホールがあって、そこが本番の舞台。新しいだけあって、音響がいい。反響板が立派。大したもんだと感心するやら羨ましくなるやら。
問題は、施設内が広すぎて迷子になるということぐらいか。楽屋入り口がわかりにくいところにあって、楽器を持った人のあとについていかなかったらぜったいわからない。
肝心のリハーサルはどうだったか。
実にハードだった。12時半開始で、途中で休憩を入れつつも、終了したのは6時過ぎ。ロザムンデと1楽章をすこしいじってから、全曲通し、合唱と4楽章を合わせ、その後、合唱隊がはけたあとに3楽章をみっちりと。もう、集中力持ちません。
寝不足が続いたあとの週末だったせいもあるけど、終わったあとは体のあちこちが痛かったりこわばったりして、バラバラになりそうだった。
まず、場所に慣れないということがある。今回、初めてびおらが外、チェロが内側という配置を経験した。ごくごく一般的な弦楽器の配置は、客席から向かって一番左が1stバイオリン、そのとなりが2ndバイオリン、さらに指揮者をはさんでそのとなりがびおら、一番右側にチェロ、チェロの後ろにコントラバスという具合。
それが曲によってはわざとチェロとびおらを入れ替えることがある。が、第九でこの配置は、見るのも弾くのも初めて。指揮者が見えにくいことこの上なし。指揮者を見れば楽譜が目に入らず、楽譜を追っていると指揮者が視野から外れてしまう……。
それだけでなく、第九では舞台の奥に合唱団が入るため、オケは前に出てこなくてはいけない。舞台からはみ出してしまうので、前のほうの座席をはずして舞台を広げ、その上に乗る。
するとどうなるか。1stバイオリンの音が非常に聞きづらくなってしまうのだった。距離的に遠いし、1stの後ろには反響板がない。(T_T)
そこへ来て、となりの席はプロのトラ。いえ、トラよりはむしろトレーナーも兼ねているみたいで、弾き方のアドバイスなど、いろいろ面倒をみてもらえたのはいいが、あれこれチェックされていると思うと緊張は倍増。
やはり練習後にいろいろ言われた。一番指摘されたのは、オケ全体のテンポに乗り切れていないので、細かいリズムが微妙にずれるということで、そのせいでプロトラさんは、そうとう弾きにくかったようだ。
そのズレをなくすために、本来はトップの後ろ姿を見て合わせるのだが、本当に「見て」合わせていると、あるべきリズムより後れてしまう。それに、トップの人も結構怪しいときがあったりして(汗)
確実に弾けるプロトラさんに合わせれば一番安全ではあるが、見て合わせていてはずれるので、常に同じリズムを感じているようにしなくてはいけない。そのためには心の中の耳というか、第六感みたいなものを働かせなくてはいけなくて、その感覚は睡眠不足や疲れがひどかったりすると全然働かなくなってしまう。
ということで、練習後のミッションは、弾けなかった部分のおさらいをすることではなく、しっかり休んで疲れを取っておくこと、と自分なりに判断した。
こんなときはクナイプの入浴剤が良く効く。特に湿布の香りのワコルダーが。
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