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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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「芸術植物園」

オペレッタと抱合せで、県美術で開催中の「芸術植物展」も見てきたが、予想以上に面白くて大収穫だった。

最初の展示室に入るといきなり、パウル・クレー〈植物のシンボル〉で出迎えられ、大喜び。
展示は6部構成で、最初から順に「植物にたくす」「植物を集める」「植物をうつす」「植物をつくる」「植物をしらべる」となっている。
工芸作品に使われた植物の図案や意匠の紹介、現実にはありえない風景を生み出す装飾品、記録の保持を目的として描かれた植物図など、さまざまな角度で展示が分けられており、雑多になりがちなテーマを興味深く見ることができた。

さまざまな切り口はあれど、全体として伝わってくるのは、人間とはまったく違うありかたをしていながら、生命の神秘を強く感じさせる植物に対する畏敬の念と、その謎を解き、少しでもその不思議な力にあやかりたいという執念みたいなもの。

日本の作品が多く紹介されており、日本人が植物に対して抱く感覚の繊細さが際立っていた。観察眼の鋭さ、限られた色数で本物よりも本物らしい植物を再現してしまう表現力。
リアリティあふれる絵柄をベースとしながらも、あえて非現実的な空間に配置することで、芸術的な価値を作り出す掛け軸の多いこと。また、植物をモチーフとして利用しながらも斬新な表現を試みた作品も多く紹介されている。
しかし、一番好奇心を刺激されたのは、記録資料として描かれた数々の植物かもしれない。たとえば、かつて大英帝国が領土を広げていた頃、異国の地の異形の植物がどけだけもてはやされたことか。珍しい植物の調査と記録にどんな手段が使われていたのか。現代ならスマホで簡単に撮れてしまう、写真技術も未発達なあの時代どのようにして植物の標本を得たのか。それらを垣間見ることのできる資料がとても興味深かった。

最後に掘り出し物をひとつ。レオ・レオニの「平行植物」という本(絵本ではありません)。現存しない植物をあたかも実在するかのように解説してゆく愉快な内容。展示室に原書があったので、日本語版は出てないのかと思ったら、出口のショップにちゃんと置いてあった。ハードカバーはいいお値段だったので、某所で検索して文庫版を入手。ふふふ。
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ご来館ありがとうございました

  • by APMOA副館長
  • 2015/09/21(Mon)09:35
  • Edit
丁寧な感想を発信していただきありがとうございます。これからも愛知県美術館をご贔屓にm(_ _)m

Re:ご来館ありがとうございました

  • by O-bake
  • 2015/09/21 15:34
ご挨拶恐縮です。
一緒に出かけた友人もとても面白がっていました。海外から有名作品を集めて展示する企画展も好きでよく見に行くのですが、今回のように見せ方で勝負する企画展も良いものだと思いました。今後の展示も大変楽しみにしております。

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