びおら弾きの微妙にズレた日々

ブリューゲル展おかわり

最高気温37度と予想された酷暑の連休最終日、いそいそと豊田市美術館へ出かけた。その日はブリューゲル展の最終日であり、また「聴覚の寓意」をモチーフとした古楽器による無料演奏会が開かれるからだ。

しかし。家のことをやっているうちに出遅れた。整理券配布時間前に到着したものの、駐車場は満車だし、ようやく美術館にたどりついた頃にはすでに長蛇の列ができており、定員を超えたため並ぶのは打ち切りだと……_| ̄|○ これだから事前予約のできない無料の演奏会は恐ろしい。

それはさておき、この日を最後に豊田市美術館は、改装のためおよそ10ヶ月にわたって休館する。現状の美術館は見納めなので、ゆっくり回ることにした。

クエイ兄弟は着々と仕事をしていたのだ

「アジア初の回顧展」として、岡崎美術博物館で開催されたクエイ兄弟展〈ファントム・ミュージアム〉。大学生の頃に「ストリート・オブ・クロコダイル」という不思議な世界にハマった身としては、見に行かずにはいられない。
出かけた当日は、よほど興奮していたのか、時刻を間違えて予定より一時間早い電車に乗ってしまった。まるで遠足で浮かれすぎた小学生w



日本では、それこそ「ストリート~」の作者としてしか知られず、今も活動しているのかどうかさえ謎だった感があるが、実はクエイ兄弟、アニメ制作から抜け出してさまざまな方面、たとえばミュージックビデオやCM作成、舞台美術といった多方面で活躍中だった。

展覧会では、時系列でクエイ兄弟の作品が紹介され、彼らが影響を受けたという東欧のアートの紹介や、カフカ、ヤナーチェクからインスピレーションを受けて制作した作品の展示から始まった。てっきりチェコ出身だとばかり思い込んでいたが、生まれはアメリカのペンシルバニア州だと知り、軽く衝撃を受けた。ただ、大学を出てから彼らは活動拠点をロンドンに移しているので、ヨーロッパ的な空気の方が性に合ったのだろうなと推測はできる。

その次のコーナーが一番の華で、有名なアニメ作品のダイジェストがまとめて見られる映像コーナー、続いてアニメの舞台セットを展示用に作り直した箱庭風の「デコール」が展示されている。
「ストリート・オブ・クロコダイル」も「ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋」もただ懐かしいだけでなく、今だからわかるあれこれが見て取れるし、デコールともなれば、じっくり舞台装置を見たり、人形の細部まで観察したりできるし、眺めている内に不可思議な世界に引き込まれていく気がする。

その作品群はシュールというか不条理な世界で、まあ意味不明と言えば不明なのだけど、理性からこぼれ落ちた、どろりした感情の固まりをスタイリッシュに可視化すればそうなるだろうなという点で感性的には腑に落ちる世界。モチーフやテーマを見れば中二病ぽさも目につくが(身も蓋もない言い方をすれば「女体恐い」)、グロテスクや悪趣味の一歩手前でとどまる美しさがある。

その次のコーナーでは、ミュージックビデオや舞台美術の仕事が紹介されていたが、残念ながら作品そのものを展示するわけにはいかない代物なので、ほとんどがスチール写真での紹介になっており、少々がっかり。まあ、今の時代、MVやCMは検索すれば出てくるので、その気になればいくつかは見つけることができそうだが、舞台だけは生で経験するべきものなので、写真だけでしか見ることができないのが本当に残念。

現役でバリバリ活動しているクエイ兄弟だが、なんと御年71歳! すごいバイタリティだと思う。

  レストランの庭もなかなかシュールでした…



美術館全体がロックだった(ビルディング・ロマンス展)

行けるときに行っておかねば、とミュシャ展にひきつづき、今度は豊田市美術館まで出かけた。
開催中の展覧会はコレ。
「ビルディング・ロマンス 現代譚(ばなし)を紡ぐ」
現代の作家によるインスタレーション作品が5点。



出展作家
 飴屋法水
 スーザン・ヒラー
 危口統之と悪魔のしるし
 志賀理江子
 アピチャッポン・ウィーラセタクン




ミュシャはいいぞ

アルフォンス・ミュシャといえば、アール・ヌーヴォー様式で有名な画家であり、昨年、国立新美術館で「スラブ叙事詩」が展示されたことが記憶に新しいが、あいにく見に行く機会に恵まれず、心のなかでひそかに「ぐぎぎぎぎ……」と唸っていた。
それが今年になって、内容は違うものの、新たにミュシャ展が名古屋で開かれていると知り、時間を作って見に行ってきた。非常に寒い日で、外出が億劫なほどだったが、思い切って出かけてよかった。