今年の8月に亡くなった今敏監督の作品。筒井康隆原作。
千葉敦子は、人の夢に介入することで心の病を治療するサイコセラピスト。そしてパプリカは夢世界における敦子の分身。他人と夢を共有するにはDCミニを使うのだが、ある時その装置が盗まれてしまう。直後にDCミニを悪用したと思われる精神錯乱者が発生。敦子は、勤め先の研究所の所長、島やDCミニの開発者である時田とともに、事件の解決に向けて動きだすが、被害は広がる一方で、ついに夢は現実を浸食しはじめる。
とにかく夢のシーンが圧倒的。パプリカがいろんな姿に次々と変身してゆく一連のシーンは何度見てもほれぼれする。
夢の中の奇怪な行進は、彩りと言いアイテムと言い、昭和40〜30年代を彷彿とさせて、悪夢的な郷愁をさそう。中でもうち捨てられた遊園地最高。モチーフとしてはありがちだけども見せ方がスゴイ。
でも今の若者が見たらどうなんだろう?とは思った。かえって新鮮なのかな。
敦子たちが事件を追う流れと、敦子のクライアントである粉川が自分のトラウマを克服してゆく過程が交互に登場するが、それが互いに接近してゆき、最後に合流する流れは見ていて気持ちがいい。犯人の正体とか、数多の男性陣の中で敦子を射止めたのは誰かとか、少しずつ意外性が入っていて、さすがは筒井作品、エンタメの王道を行ってると思った。
ウィキによると、いくつか原作と相違点はあるようだけど、小説1本をまるっと決められた枠の中に入れるのだから、取捨選択はあって当然だろう。
筒井作品らしさといえば、ラストの巨大男女の対決によく表れてると感じた。闇を代表する男神と光を代表する女神が相対する構図は、「七瀬三部作」を彷彿とさせる。三部作の中でも特に「エディプスの恋人」。
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