食(imotare)
メタルで美食を楽しむとどうなるか、という話。ドタバタ&シリアスでなかなか楽しめた。
また、副題がなかなかお茶目。”imotare”という単語は英語の辞書にはありませんから(笑)。
ミナモの好物……ピーマン以外←推測
久島の好物……(強いて言えば)紅茶←納得
ホロンの好物……(人間と同じモノは食さないが)天然オイル←バトーさん!
まず、人工島では本物の野菜が不足しており、合成食料が主流で、人によってはサプリメントで栄養を補給してるという背景がある。だから、蒼井家の食卓は、ごく当たり前のメニューに見えて実は非常に恵まれているのだ。
そんな中、メタル内の「美食家クラブ」に属する人々が次々に「脳餓死」を起こして死亡する事件がおきる。調査のために波留がクラブに潜入し、それはそれは筆舌に尽くしがたい(?)食道楽体験に付き合うわけだが、それが笑えるのなんのって。
グルメたちは、リアルの世界で美味しいものが食べられないので、メタルの中にそれを求めたらしい。それはそれで自然の成り行きではあるが。
しかし、満腹感を覚えた波留が、食に関するキャッシュ消去用プログラムを手渡されるあたりから事態は急変。メタルの影響で味覚過敏に陥ったグルメたちは、波留が美味いと感じるミネラルウォーター(硬水)が飲めなかった。水分中のマグネシウムやカルシウムに過剰に反応した結果、非常な苦味を感じてしまったわけだ。
結局、彼らはリアルの生活で食べることができくなくなり、それで餓死状態に陥ったというわけ。哀れなものだ。
波留が美味いと感じたかすかな苦味を、若いミナモは露骨に苦いと感じる(彼女が徹底してピーマン嫌いなのはそのせいか)。それが事件解決につながるところは、苦笑するしかなかったな。
今回、個人的にいちばん美味しかったのは、久島の笑顔だったりする。(ふふふ)
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COMMENT
偽装も暴く舌
人工島の野菜事情、未来のリアルな姿かもしれませんね。SFではよく見かける設定ですが、文明が進化するほどに天然から遠ざかるのはある意味当然ですから、野菜の栽培も合理化の行き着く先は工場で合成生産→成分を薬剤化、というのは充分あり得る話ですね。それが幸か不幸かはまた別問題・・・。
時節柄、ここまで味覚が鋭敏になったら、食品の偽装なんて不可能になるからそれだけはうらやましいかも・・・と思ってしまいました。どこの国の産物なのか、農薬やカビ毒が残留してないか、自分の舌で確かめられるから。(ーー;)
>久島の笑顔
ミナモちゃんにピーマンの生産ラインを止めて~と懇願されたときのですね?あのイジワルそうな顔、良いですよねぇ。
Re:そんな舌が欲しいです
そういう管理人は、高校生のとき「To be to be ten made to be」を真面目に英文法に添って考えてしまったクチです。
硬水が飲めない舌はイヤン♪ですが、違法添加物その他を見破る舌は必要ですね、こんな世の中じゃ……(>_<)
人工島の野菜事情は「きた~」と思いました。似たようなことを自分の書いた話の中で考えていたので。将来の小学生の社会見学が野菜の生産工場になっていたりして。
久島の笑顔>
そうそう、そこですよ! ふだん仏頂面の人間があんなふうに微笑んだ日には……ピー(←以下自粛)