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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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カリブの海賊ども その1

「パイレーツ・オブ・カリビアン」を2作目まで見た。いやはや、エンタメとして最高の面白さ。1作目は、めでたしめでたしのエンディングで「わーい、楽しかった」で終わったのに、2作目は「うおー、どうなるの、スズメ船長?」と、とんでもない終わり方。気分的には2作目の感想を書き連ねたいところを、頭を冷やす意味も含めて、順序良く1作目から。

調子に乗って書き直しをしたら、また余計に長くなっちゃいました…。(^^ゞ

まずは気に入ったシーンを3つばかり。

その1:
物語が始まって間もなく、スズメ船長と鍛治屋青年が対戦するところ。
剣さばきはもちろん、鍛治屋の内部をうまく利用しつつ、大道具小道具をフルに活用してのアクションはとても楽しい。お互い口も達者で。(*^。^*) それにこの戦闘中に、鍛治屋青年の仕事ぶり、性格、立場などが自然と伝わってくるしかけ。うまいなあと思う。

その2:
白鳥嬢とスズメ船長が無人島に置き去りにされたシーン。
偶然ラム酒を掘り出した二人、酔いつぶれるまで飲んで踊る。スズメ船長、これはチャンスとばかりに(?)お嬢さんを口説きにかかるが、あえなく撃墜されてしまう。しかも先に潰れたし(笑) それはともかく、ラム酒片手に「ブラックパール号が真に意味するもの、それは…」なんて語るところはいいね。船長の本気がチラリと見える貴重な場面。
さらにその翌日、ラムを燃やしてしまった白鳥嬢の背中に思わずピストルを向け、こりゃだめだとばかりに下ろしてしまう船長が可愛かった。
お嬢さんがラムを燃やした理由は二つ。一つはのろしをあげて父親たちに居場所をアピールするため、もう一つはたぶん……「ラムは男を豹変させる悪魔の飲物」だから。しかし、豹変したのはむしろお嬢さん、あなたの方では?

その3
最後、絞首刑から逃げ出したスズメ船長が立ち去る落ちるところ。この直前、鍛治屋青年とタッグを組んで立ち回るシーンもかなり好きなのだが、アクション系は挙げたらキリがないのでパス。
総督、提督、白鳥嬢、それぞれに別れの挨拶を告げて(多分に皮肉こもっているやつ)最後、鍛治屋青年には "Nice hat!" とひと言告げるのみ。1回目に見た時は「なんで帽子?」と思ったけど、2回目にわかった。兵士たちに取り囲まれ、二人背中合わせになったとき、青年の帽子の羽飾りが顔に触れてくすぐったかったらしい。ま、「立派な帽子をかぶれるほどのご身分なっておめでとう」ぐらいの意味があったのだろうけど。こういう、言葉にならない部分でものすごく語っているところがいいのよね、この映画。

本当はもう一つ、ブラックパール号の呪いがとけるシーンがあるのだけど、それは別格なのでのちほど。

さてさて、この映画で何に感心したかといえば、ストーリー的に王道をきっちり押さえつつ、あちこち寄り道しては観客をハラハラさせるのが素晴らしく上手いということ。剣を持っての立ち回りは派手だし、海賊船同士の戦闘シーンは圧巻。特に呪われた海賊たちが地底を歩くシーンにはゾクゾクきた。
話の流れとしては、呪われた海賊船を元船長が呪いを解いて取り返す話にお姫様の救出劇が絡み、すったもんだあった末に、最後はどちらもハッピーエンド。冒険活劇のネタとしては超オーソドックス。その分、主人公がかなりユニーク。

それがつまり、スズメ船長。ほぼ間違いなく主人公(≠ヒーロー)なんだけど、ぱっと見、カッコよくない。ラムを飲んでなくても千鳥足だし、決して北を指さないコンパスを後生大事に抱えているし、やることなすこと行き当たりばったりで、恐ろしく口先がうまい。(剣の腕前も同じくらい見事だけど)
命の危機にさらされるたび、言葉巧みに取引を持ちかけ、それで駄目なら派手に立ち回って混乱を起こし、スキを見てするりと逃げる。それでいて、己の目的だけは必ずきっちり果たすという実に不思議なキャラクター。
また、基本的に殺しはやらない。絞首刑の前に延々と罪状が読み上げられるが、その中に「殺人」の言葉はない。いつも何を考えているのかわからないが、ここぞという時にだけ、顔つきが真剣になる。
こりゃ本物の自由人だなあと感心感心。欠点があるとすれば、飄々としすぎて、ファンの好意を寄せ付けない雰囲気を漂わせているところだろうか。風を箱に閉じ込めることはできない。

色んな意味であてにできない(?)船長に代わり、ヒーロー役を引き受けているのが鍛治屋の青年。彼は、顔もスタイルも剣の強さも情熱の強さも、時として「馬鹿」がつくほどの正直さも申し分ない。
この青年は密かに白鳥嬢に思いを寄せていたが、彼女が海賊にさらわれたと知るや、スズメ船長に掛け合って海賊船に乗り込み、救出に向かうという一途さ。そこから本格的な冒険が始まる……のではなく、実は一足先に白鳥嬢が海賊相手に駆け引きを挑むところから冒険が始まっていたりする。
この白鳥嬢がもう、とんでもないじゃじゃ馬で、オトコマエという言葉は彼女のためにあるのではないかと思ったほど。危機が迫れば海賊どもに指示を下すし、海に落ちても自力で島まで泳ぎ着くし、鉄砲は平気でぶっ放すし、度胸と頭の回転の良さはそのへんの海賊よりずっと上。ヒロインがヒーロー並にたくましくて強いのも、この話の面白さ。

さて、肝心の敵キャラはどうかといえば、これがまた飼い犬に手をかまれたというか、スズメ船長、反乱に会っているんですな。原因はもちろんお宝をめぐって。船長の元部下が今や船の持ち主。それがリンゴが大好きなパルボッサ船長。彼、表向きは残虐でずる賢い役だったけど、芯はけっこういい人っぽかったな。誘拐してきた白鳥嬢をきちんともてなすし、スズメ船長に対して気を許した笑みを投げかけている瞬間もある。反乱をおこしたのは欲に目がくらんで、そして残虐な行為は長年の苦しい呪いゆえ、という気がしてならない。
スズメ船長は、どうにかこうにか、敵を欺き味方を欺きつつしながらリンゴ船長以下、ブラックパール号のクルーの呪いを解くに至るのだけど、そのシーンは特に素晴らしかった。まさに鳥肌もの。リンゴ船長の"I feel... cold!" もさることながら、不死身の骸骨から人間に戻ったクルーたちの呆然とした表情、そして急に死に対する恐怖が湧き上がってきてあっけなく海軍に降参するところ、良かったなあ。

さらにスパイスとして効いているのが、時代と背景。イギリスが「東インド会社」という名の植民地政策をせっせと推し進め、海賊どもは大英帝国の海軍によってカリブ海域から一掃されようとしているころ。お姫様はとある植民地の提督の娘。王子様は幼い頃、難破船から救助され、のちに鍛治屋となった青年(だから手先が器用で刃物の扱いにも慣れている)。この、微妙に現実味のある設定大人にも面白いと思わせる一因かな。

ちなみに、お気に入りキャラの番付は
ウィル・ターナー  エリザベス・スワン   ジャック・スパロウ   パルボッサ    ノリントン
鍛治屋 > 白鳥嬢 > スズメ船長>リンゴ船長>ふられた婚約者

番外編として、リンゴ船長の下で働いていた女装二人組。(←本編を見た人なら、おわかりかと/笑)

船長ではなく、鍛治屋惚れなんです。どうもこの手のナイスガイには弱いらしい……と思ってたら、なんと、「指輪」でレゴラスを演っていた役者さんなんですね。ものすごく納得。だってレゴラスはもう身体の芯からエルフで、人間の役者さんが演じているなんて思えないぐらいはまっていたから。

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カリブの海賊ども その1

  • by めりる
  • 2007/07/19(Thu)00:18
  • Edit
わーい♪海賊、調子に乗ってくださって嬉しいです!(*^^*)
でずにーだからなぁ…と食わず嫌いだったのですが、もっと早く見れば良かったと後悔中です。(^^;)お子様向けで王道なのになぜこんなに面白くて新鮮なのだろう?と不思議だったのですが、さすが児童書専門家のO-bakeさん、謎が解けた気分です。

ご指摘のとおり、映画の成功の大部分が雀船長というキャラクターに寄っていることは言うまでもないのですが、やはり好みが分かれると思うので、俳優さんの工夫と勇気に乾杯☆でしょうか。裏事情は知らないのですがよくこんな役作りが制作側に通ったなぁと。鍛冶屋が正統派のヒーローの役どころなので対照させたかったんでしょうね。

男まさりのヒロインと、身分違いの恋(死語)をわきまえて一歩下がっているヒーローて「ベルばら」そのものなので、私がハマったのはそれもあります。

パルボッサ船長は実はいい人に一票です。(あえて)悪役を引き受けてるのに悪に徹しきれないところが某キャラにそっくり…わはは。白鳥嬢をもてなして彼女がごちそうにかぶりついてるのを満足げにながめてるリンゴ船長の心中を察するともう悶えそうです。血のいけにえの儀式もしかり(笑)。こうしてみるとこの映画、真の悪役ていないですね。それが後味の良さにつながっているのかも。ということは二作目は…。

帽子は良い小道具ですよね。羽飾りはお貴族さまの印ですよ!雀船長に「もっと良い帽子をやるから」と交渉を持ちかけられたときのリンゴ船長のまんざらでもなさそうな笑顔がもう可愛らしくて♪オッサンスキーなのですみませんOTL

時代背景も燃えますよ!
大航海時代の七つの海の支配者はスペインで、イギリスが島国の小国にすぎなかった頃は、イギリスが率先してスペインの船を襲って富をせしめていたんですね。海軍はもちろん、民間船に私的拿捕(だほ)の許可状を与えて奨励していたんですがそれがまんま海賊行為♪(二作目のあの書類がこれっぽいです)

映画はこれよりもっと後の時代ぽくて、スペインに代わってイギリスが大英帝国の頂点を迎えつつあり、東インド会社=植民地経営も軌道に乗って海賊行為も必要なくなってきてます。そうすると今まで協力…というより利用してきた海賊どもが邪魔になるわけです。んで海賊からすればそれまで手を組んできたはずの御上(おかみ)に裏切られて歴史の舞台から抹殺されていく運命にちょうどあるんですね。そのへんの設定がまた萌える背景になってます。
私も長々と失礼しましたー!

Re:カリブの海賊ども その1

  • by O-bake
  • 2007/07/19 00:37
さっそくのコメントありがとうございますvv
細かいところまで手を抜かず、それでいて余計な描写はすっ飛ばして話がサクサクと進むのも面白さの秘訣かと思いました。
スズメ船長の役割って、あの性格からしたら普通は道化というか狂言回しだと思いません? それが主役って、制作陣はかなり思い切ったことをしましたよね。いや、ある程度は計算済みだったと思うのですが。

リンゴ船長、やっぱりいい人ですよっ。2作目を見てその思いが新たになりましたよ、もう。(*^。^*) 1作目の白鳥嬢の歓待シーン、洞窟で血のあがないをさせるシーン、そしてもう一つ深読みしてしまったのが、海へ突き落とすシーンです。「ドレスを返せ」と、白鳥嬢の豪華な服を脱がせますよね? あれ、もし着たまま水中に落ちたら服が重くてまず泳げません。それを知っていてわざと脱がせた? と思いました。悪役を引き受けておきながらなりきれないって? ふふふ。そういう人、どこかに居ましたね。(^_-)

時代背景の解説もありがとうございます。そうそう、ブラックパール号は最後の海賊船という雰囲気すらありましたもんね。そういう背景を知っているとまた、より深く映画の世界が楽しめます。

熱い語りをありがとうございました~。

〈業務連絡〉頂いたコメントが二重投稿になっていましたので、一つ消させてもらいました。

カリブの海賊ども その1

  • by ブーハ
  • 2007/07/19(Thu)00:32
  • Edit
先日,テレビから録画した1を観ました。
ところどころ観てないし,放送だからノーカットではないのかもしれないので,そのうちまともに観ます。

全作品観てみたいですね。
はまりそう・・・

Re:カリブの海賊ども その1

  • by O-bake
  • 2007/07/19 00:41
ブーハさんもご覧になりましたか? 面白いでしょ。(^^)
聞くところによると、放送版はカットされたシーンがいくつかあるようです。もし、近所にレンタル屋さんがあれば、DVDをお薦めします。
ぜひ、いっしょにはまってくださいませ♪

カリブの海賊ども その1

  • by くるりん
  • URL
  • 2007/07/19(Thu)20:12
  • Edit
遅ればせながら。。。
実は、娘がジョニー・デップのファンでして、たぶん娘は彼の出た作品は全部制覇したのでは?!
その娘に勧められ、1はレンタルビデオで、2は劇場で観ました。
O-bakeさんの深い洞察力、さすが!です♪
じゃあ、3は観たのか?と言うと未だでして、我々の中でこの映画は、素晴らしく良く出来た娯楽映画?になっております。つまり、ちょっと最近、娯楽の気分ではないというか。。。
書き逃げ~

Re:カリブの海賊ども その1

  • by O-bake
  • 2007/07/19 22:09
くるりんさんもようこそ! 
お嬢さんがジョニー・デップのファンなのですか。なかなか個性的な俳優のようですが、パイレーツの映画で一気に人気が出たとか。
娯楽作品とはいえ、これだけ面白く作るのは並大抵のことではありません。余裕ができましたら、ぜひ3も見て楽しみましょうよ。

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