プチおこもり中につき、過去に書きためた記事をひっぱりだしてつなぎます~。
三年前の4月に「ユダの福音書」発見のニュースが流れた日には、そりゃもう興奮しましたねえ。
電波の受信状況が良くない土地に済んでいるため、必要に迫られてケーブルTVを契約している。お金はかかるが、面白い番組が見られるのでまあいいかという感じ。
先日ナショジオチャンネルでは「ユダの福音書」特集が放送された。すかさず録画&チェック♪ 以前、本で同じ内容を読んだが、映像が加わると迫力が違う。
興味深かったのは、新約聖書に含まれている4つの福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)のうちで、一番古い福音書ではユダは悪役扱いされていないのに、時代が下るにつれてユダの描写が凶悪になってゆくこと。これは、ユダ=悪人を成立させようとする意図があったことを示す。
番組では、成立後間もないキリスト教が、生き残るためにユダを悪人に仕立てなくてはならなかったと解説していた。
また、ユダの福音書にはグノーシス派の思想が色濃く反映されていたとも指摘されている。例えば、神=創世神ではなく、宇宙全体に存在する高次元の存在だと捕らえていること、身体は魂の入れ物だという考え方などなど。それらを踏まえて、ユダはただひとり、イエスから神の秘密を明かされ、イエスの魂を解放する手伝いをした聖者だということになっている。なんと、ユダの密告行為はイエスの指示だったという。
実は、この「ユダの福音書」の内容を知ったとき、ものすごく納得してしまった。昔、大学の授業で聖書を読まされたとき、ユダの裏切りになんとなく違和感を感じてはいたのだ。
イエスの磔刑はあらかじめ予定されていたことで避けられない運命だったならば、裏切り者が出ることもまた避けられない運命で(イエスは裏切り行為を予見しながら、それを避ける手立てをいっさい打たなかった)、ならば誰が勇気を振り絞って裏切り者になれるかが、とても重要だったのではないか。ユダはあえてその役を引き受け、その結果2000年近く悪人の象徴となってきた。
とすれば、イエスの磔刑は二重の意味で「受難」だったことになる。神の子の犠牲と人の子の犠牲。
ドイツではユダを聖人として認める動きがあるらしい。もっとも、ユダの排斥はユダヤ人差別のもとになったと言われ、ドイツにはユダヤ人虐殺という負い目があるので、少しでも過去を清算したいのだろう。
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COMMENT
知りませんでした
んですね。
最近「ユダの福音書」という名詞だけは耳にしていて、そんなんないはずだけど、と思ってたのでした。
興味深いです。
Re:ガセじゃなかったんです
1~2世紀ごろは、新約聖書に含まれている4つの福音書のほかに、さまざまな福音書がかかれましたが、政治的な絡みで淘汰され、現在は4つが「正典」として認められるに至ったわけです。
これと同じ内容で本が出ていますので、お時間があればぜひ。