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びおら弾きの微妙にズレた日々

さよなら お犬様

ついにお犬様を返す日が来た。

もともとうちは一時避難所だったわけで、焼けてしまったダンナ氏の実家が再築されればできるだけ早く返す予定だった。
というか、それ以前にこのイヌは複雑な人生ならぬ犬生を送ってきている。
出発はペットショップから。ポメラニアンの中でも珍しいオレンジ色の毛色を持って生まれ(現在は普通の茶色にしか見えない)、約10万円の値段で売られていたらしい。そしてA夫妻に買い取られ、子犬&成犬時代を過ごす。数年後A夫妻の奥さんの方が亡くなり、ご主人が一人で世話をしていたが、そのご主人も体調が思わしくなく、万が一入院したりすれば世話をする人がいなくなるというので、イヌを保健所に連れてゆこうとする。
その話を聞いたA夫妻の娘のBさん(すでに結婚して家を出ている)が、保健所に連れてゆくぐらいなら自分ちで飼うと言って引き取る。そしてイヌはB家で成犬~老犬になるまで過ごすことになる。ところがBさんが犬アレルギー持ちであることが判明し、やむなく庭で外飼い(この時期にフィラリアに感染したらしい)。
このB家というのが、まあ、ダンナ氏の実家でして、それが東北大震災とほぼ同時期に火災を起こして全焼してしまい、イヌの居場所がなくなってしまった。イヌは外飼いだったら助かったわけで、室内で飼われていたら恐らく火事に巻き込まれて死亡している。まったく2度も命拾いをして、運の強いことだ。(ただしイヌは助かったが、ダンナ氏の実父はこの時に亡くなっている)
その後、新しくB家が建つまで、イヌを我が家でお世話することに。それ以降の経緯はこのブログの「お犬様」シリーズで書いているので省略。


さて、B家の復興具合はというと、昨年12月に新しく家が建ち、Bさんの父、つまり初代飼い主さんと同居することに決まったので、さっそく返却することに→ところが都合が悪くなり3月に延期→まだ都合が悪いので夏まで待つ→7月上旬に受け入れ準備整う、となり、まさに三度目の正直でイヌは引き取られ、大人しく帰っていった。
その後、今後の世話でフィラリア予防薬の飲ませ方、食事の量など、気をつけてほしいことがあったのでB家にメールを送っておく。

イヌグッズはすべて渡したし、寝床に使っていた古座布団などはさっさと処理し、掃除機をかけて犬の毛を吸い、さらに床を水拭きして足あとも消した。すると家の中はきれいサッパリ、獣臭がなくなった。
仕事から帰ってきて、疲れた身体に鞭打ちながら夜の散歩に出かける必要はなく、食事のたびにイヌの取り分をより分けておく必要もない。一番面倒な排泄物の始末もしなくてよくなった。

すごい静かだ。
ただ、夜中に時折、フンフンと鼻を鳴らす音や、カリカリと床をひっかく音が聞こえた気がして、まだイヌが家の中にいる錯覚を起こす。どうやらイヌの存在感はあまりに大きく、引き取られたからといって、すぐに気配が消えるわけではないらしい。



そして翌朝。

B家ことダンナ氏の実家からメールが返ってきた。イヌは朝になったら死んでしまっていたと。
いやいやいや、そんな馬鹿なと思った。引き取られる直前までいつもと同じように図々しく元気で、もちろん高齢犬だからヨボヨボしているのだが、普通に散歩に出るし食欲も変わりなく、一両日中に昇天してしまう気配などいっさいなかったのだから。

老犬だから環境の変化に耐えられなかったのだろうか。でも元の飼い主のところに戻っただけだし、むしろ懐かしい人たちの顔を見て、安心しすぎてポックリいってしまったのではないかと思われる。
あっけない最期だったが、ある意味理想かもしれない。病院の世話にならず、飼い主たちに必要以上の心配や手間をかけさせず、直前まで元気でいて、朝が来たらコロンと逝ってしまうとは。
これまで散々アホ犬扱いされてきたし、実際、お馬鹿な振る舞いが多かったけれど、最期に決してそうではないことを見せつけていったお犬様だった。

今もこうして静か過ぎる夜の中で文章を打っている。
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