本日は、「美術部員の娘のため」という大義名分のもと母娘(+娘の友人)で豊田市美術館へ。ブラジル発の現代アート展を開催中なので。
豊田の美術館は、県美術館とか(名古屋)市美術館に比べると、どうしてもマイナーな印象をぬぐえないのだが、実は現代作品の企画展が多くて、結構気に入っている美術館だ。
現代美術は大好き。楽しくて刺激的で、世界がちょっとだけ新鮮に見える。
そうそう、自転車の旅に出た息子とその父は、無事帰還。顔も腕も日焼けで真っ赤。すでに「夏休みの思い出」が書けそうだ(笑)。
さて、美術展はといえば、ヘンテコな(失礼!)オブジェばかりを期待していたら、予想に反して映像作品が多かった。映像に音楽のついたもの。芸術的・実験的プロモーションビデオといったところかな。
例えば、こんな作品がある。
東京見物するタコ(日本産・もちろん生きてます。釣り上げたタコを本当に東京まで連れて行くのだ!)の物語を、ブラジル版講談師みたいな芸人二人組みが、ブラジルの街角でリズムに乗せて景気良く語る。道ゆく人々は、はるか日本の国のナンセンスなタコの旅物語を聞く。その様子をビデオに撮り、またまた日本で公開する。実際のタコの旅の様子(これもビデオ撮影されていて、同時に流れる)と、語りの中に存在するタコの旅。その差異がたまらなく可笑しい。
あと、印象に残ったのは「ラブ・レタリング」という映像作品で、尻尾に小さな単語カードを留めつけられた無数の金魚が、水槽の中を泳いでいる。カードの単語はすべて違っていて、しかも表と裏で違う言葉が書かれている。さまざまな単語がひらひらと行き来する中、偶然Iとmissとyouが並ぶと、「ああ」とため息がもれる。それでなくても、不規則に行ったり来たりする単語同士を無理やりくっつけて意味を作ろうとしてしまう自分の頭の働きに驚いてみたり。
映像でなくても、立体オブジェでも面白い作品はたくさん。ブラジルというか、南米ラテン系の人々は、リオのカーニバルに代表されるように、爆発しそうなほどの強い生命力を持っているのだと、ひしひしと感じた。
芸術というのは、決して高尚なものではなく、見慣れた世の中をひっくり返してみせるという、危険で野蛮で魅力的な力を持っている。それは現代に限らず、昔からずっとそうだったのだと思う。あの「モナリザ」だって当時の常識からすると「うそ!」とつぶやきたくなるような仕掛けがなされているのだ。
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