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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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愛トリおかわり(あいちトリエンナーレ2019)

これまで延々と続いてきた愛トリレポート、豊田会場の紹介で終わる予定だったが、終了間際に全企画が復活することとなり、10月8日以降展示作品すべてが見られるようになった。たいへんめでたいので、愛知県美術館へもう一度足を運び、2周目を楽しむ。


エキソニモ《The KIss》
本来はそんな意味で作られたわれではないだろうが、今のタイミングだと全展示復活を祝っているようにも見える。


   
ピア・カミル《ステージの幕》(左:一部企画展中止中 右:復活後)
芸術文化センターの地下2階吹き抜けロビーにて展示。
音楽も復活してすっかり元通り。クールな感じに。


 
レジーナ・ホセ・ガリンド《LA FIESTA》もパーティ再開(左:一部企画展中止中 右:復活後)

展示作品がすべて復活してみると、やはり結構なボリューム。特に、鑑賞に時間がかかる映像作品が多いので、きちんと見ようとすれば最低でも半日はかかる。根気と体力はいるが、時間をかければ、それに応じて収獲が増える。

あらためて県美会場を見渡してみると、大きなテーマが浮かび上がってくる。そのうちの1つが「異文化を知り共存の道を探る」こと。2つ目は「情報とは何か」。
異文化とか世界の反対側や隣国で何が起きているかを知るには情報が不可欠であり、さらにその情報は与えられたものを鵜呑みにしてよいものか、情報の咀嚼力が必要なのではないか、というアイデアにつながる。

1つ目のテーマを強く感じさせたのが田中功起《抽象・家族》

写真では決して伝わらないが、インタビュー映像、出演の手による絵画作品、作者のコメントもろもろを総合してひとつの作品となっており、インスタレーション形式だからこそ示せる複合的な家族像がとても印象的で刺激に満ちていた。


2つ目のテーマを強く感じさせたのが、AIが人間を人間として認知するにはどんな要素が必要かを実験する村山吾郎《Decoy-walking》や、デジタルデバイスと現実の関係を示したりや言語・文化の混じり合いから生まれる面白さを示す永田康祐の作品。

さらに1と2の両方の要素を含むのがキャンディス・ブレイツ《ラヴ・ストーリー》。これは、難民として祖国を離脱した人々にインタビューをし、その内容を俳優がいわゆる「再現映像」として演じるもの。
祖国を脱出してきた人々にはそれぞれ切実な理由がある。この作品で取り上げられている人たちは、ほとんどがマイノリティであるがために生まれ育った社会では生きていけなくなったケース。一人ひとりの声に耳を傾けていると、「異文化との共存」や「多様性のある社会」がいかに絵に描いた餅であるかわかる。
また、本人によるインタビューを見たあとに再現映像を見ると「おや?」と感じる。何が失われて何が付け足されたのか。メディアで流されている情報は往々にして「再現映像」だったりするのだが、一般受けするように加工されたそれらは耳障りのよい情報しか伝えていない可能性もある。

少し毛色の変わった作品として「音の彫刻」とも言われるシール・フロイヤー《Untitled(Static)》、メントールで涙を出させることにより悲しみの感情を喚起しようと試みるタニア・ブルゲラ《43126》、文字通り五感に訴えるものがあって、かならずしも情報=デジタルではないことを思い出させてくれる。


シール・フロイヤー《Untitled(Static)》
天井に吊るされたスピーカーの下に立つとホワイトノイズが聞こえる。
ただの「サー」という音が風景と組み合わさったとき、あるいはどんな心境で聞いたかなどで、意味があったりなかったり、色々変化するのが面白い。

また、衝撃的な映像を使いディストピアを予感させるような作品も少なくない。その中でいちばん訴求力が強かったのがパク・チャンキョン《チャイルド・ソルジャー》。生と死がこれほどまでに美しく融合した作品は見たことがない。しかし一歩間違えば安っぽいプロパガンダに陥る危険と隣合わせ。ギリギリのところをいっているのが凄い。

さて、問題の発端となった《表現の不自由展・その後》は再開されたものの観覧が抽選制になっており、当選者は身体検査+身分証明書の提示+注意事項の説明を受けて展示室に入れることになっている。物々しいが観覧者を装った放火犯が紛れ込んだりしたら大変なので、やむを得ない処置だろう。
予想通り大量の観覧希望者が抽選会場に押し寄せた。自分が並んだ回については、35人×2の枠に対して500人を超える希望者。当たらないほうが普通。ということで、観覧叶わず。これは展示内容よりも、観覧手続きに興味があり、半分だけ体験できたので良し。

最後の最後にお気に入りのウーゴ・ロンディノーネ《孤独のボキャブラリー》より。
これ、ほんとに優しくて可愛くて好き。


※長い長い愛トリレポートにお付き合いくださった皆様、本当にお疲れさまでした。
そしてありがとうございました。

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