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びおら弾きの微妙にズレた日々

マトリョーシカを開けたら音の箱

となりの市の文化会館では、時々無料のロビーコンサートを開いてくれる。びおらだったり、クラリネットだったり、さまざまな楽器や分野の音楽が気軽に楽しめるので、一度足を運んでみたいと思っていたが、なかなか時間がとれずにいた。

しかし。
今回のテーマは「テルミン&マトリョミン」。
かつて「大人の科学」の付録のミニテルミンが欲しくて、何件も書店を回った経験者としては見逃せない。特にマトリョミン! 要は、テルミンの仕掛けをあのロシア名物の人形の中に入れてしまいました〜(^^)という、半分ウケ狙いの(?)オモチャのような楽器なのだが、それを真面目に使って演奏するというのだから、いったい何が出るのやら。
開演10分ぐらいに会場に到着したが、すでに用意されたイス席はほぼ満席だったし、座ると奏者が見えにくくなるので、立ち見をすることにした。それでも後から後からお客が入ってくる。やはり「テルミン」はそれだけ話題性があるのか。

主催者挨拶が終わって演奏が始まる。まぎれもなく電子音なのにすごくぬくもりのある音色。例えるなら真空管テイスト? これにはわけがあって、開発したテルミン博士はチェロ弾きでもあったため、音の波形が弦楽器のそれに似るように調整されたとか。だから、聞けば聞くほど弦楽器っぽい響きを感じる。もちろんそれだけではなく、演奏者の腕前も大いに関係してくる。

奏者は実にストイックな面持ちで、音量を操る左手は優雅に、音程を取る右手はいくぶん神経質に空中をスライドさせていた。テルミンは空中でなんにも目印がない中で音程をとらなくてはいけないので、ちゃんとした曲を奏でるのはほんとに難しい。実際、ところどころ音程がアマチュアのびおら弾きと同じくらい怪しくなることがあって、大変そうだなぁと思った。と同時に音の切れとかダイナミクスとかちょっとした息継ぎ的な間とかのコントロールは素晴らしかった。

そしてマトリョミンの登場。高さ20センチちょいの可愛らしい女の子の中には、テルミンの中身と同じようなものがコンパクトに収まっている。これを膝の上において、やはり空中で手を動かしながら音程をとって演奏する。その音色がなかなかキュートで、まるでマトリョーシカがハミングをしているみたい。二台で演奏すると、小さな女の子が二人でハミングして歌いあっこしているような、不思議な光景になる。

これはもう、演奏者は完全に黒子になって姿を消し、マトリョミンを腹話術の人形のように扱うことで時に笑いを取り、時に歌わせるという新しいパフォーマンスが生み出せるんじゃないかと思った。ぜひEテレで夕方4時〜5時台にコーナーを作って欲しいとか思うのだけど。

そして、もうひとつ新鮮な発見が。
マトリョミンの伴奏として、「ライア」という楽器が登場した。見るのは初めてだが、これはまさに「竪琴」のスタイルをした發弦楽器で、一般的なハープに比べて金属質の澄んだ音がする。ガット弦とスチール弦の違い、といっても一般にはわかりにくいので(笑)、クラシックギターの弦の音とフォークギターの弦の音ぐらいの違いがある、と言ったほうがいいだろう。
楽器の見た目もカッコイイし、音色は素敵だし、一度、この手で触れて音を出してみたいなぁ。
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