連休からぼちぼちと、手元に届いた楽譜を製本している。オケで使う楽譜は、ちゃんと出版社から買って団員に有料配布することもあるが、たいていは節約のため原本を1式買って団員(及びエキストラ)用はコピーして配布する。楽譜は交響曲なら20ページ前後あるので、のりや両面テープを使い、各自で製本する必要がある。
で、今日はシベリウスの2番を製本した。譜面をじっくり眺めてびっくり。以前使った楽譜と譜めくりの位置が違うだけでなく、ディヴィジョン(2声に分かれる)部分の表記の仕方、ト音記号が現れる場所など、ずい分違う!
???と思って、一昨年使った楽譜を引っ張り出してみたら、出版社が違っていた。一昨年の楽譜は
カルマス社。これは学生時代に使ったものと同じで馴染みのある版。先日届いた楽譜は
ブライトコップ社だった。実は、昨年の第九でも出版社の違いでへぇーと思ったばかり。
第九の場合は、譜めくりの場所が違うだけでなく(おかげで4楽章の1ページ目から2ページ目に移る時がずいぶん楽になった)、音が違うところも数ヶ所あって、びっくりした。体が覚えてしまった音を訂正するのはちょっと大変。
どういうことだろうと思って、たまたま同じプルートを組んだプロのエキストラさんに聞いみた。すると昔は
ブライトコップ版を使っていたが、ここ数年は
ベーレンライター版を使うことが多くなったのだとか。
初めてベーレンライター版を目にして新鮮だったので、ちょっとばかり調べてみた。ベーレンライター社は、曲が作られた当時の資料を徹底的に検証しなおし、誤りを正した「原典版」の出版に精力を傾けている。というのも、18世紀、つまりベートーベンが活躍していた時代は、出版社が勝手に楽譜に手を加えることが当然のようになされており、また、作曲者が出版後に改訂を繰り返し、どれが最終版かわからなくなっていることも少なくないからだ。
特に、ベートーベンの場合は気の荒い性格と悪筆が災いして、第九を出版する時にかなりモメたらしい。一度出版されるも、その楽譜に訂正を加えたりして、それがスコアに反映されているのでなく、パート譜にメモされているだけだったりして、どれが最終的なバージョンなのか不明な状態になっている。
その絡み合った糸をほぐして、なるべくベートーベン御大の真意に沿うような形に仕上げたのが、ベーレンライター版ということらしい。それで、ここ数年はベーレンライターを指定する指揮者が多いようだ。
シベリウスの場合は、どうしてブライトコップなんだろう。どの版を使うかは、指揮者の好みによるものだし、実際に弾くうちにわかるかもしれない。
第九の楽譜の問題について詳しくはこちらに載ってます
→ http://www.ri.kunitachi.ac.jp/lvb/rep/hujimoto03.pdf
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