お待ちかねの初来団〜♪
練習したのは、シューマン「ライン」とドボルザークのチェロコンチェルト。
実際に演奏会を振っていただくM先生の来団日であり、前もってイケメンだという噂が流れていて、その真偽を確かめる日となった。
うん、悪くない、と思った。
自分的には、以前振っていただいた竹本先生に見た目が似てるので、いいなぁと。
あ、あくまで似ているのは見た目だけ。あんなにおっかない方ではなく、音楽の知識に関してはもちろんプロだけども、物腰、しゃべり方などは完全に今時の若い人。親近感を覚えつつ、おばさんは世代格差を感じてしまったのだった。
実はもう一つ目玉があって、それはソリストの代理としてT先生も来団されたこと。チェロの音が素晴らしいのなんのって、日頃から研鑽を積んでいるプロの音は、ピッチとリズムが正確なのはもちろん、隅々まで気配りが届いていてほれぼれした。気配り、というよりは、手抜きのない音かな。アマチュアだと「こんな音弾けるわけないし」と、きちんと響かせることをあきらめてしまうような難所の音まで丁寧に作られてあったりするので、眼福ならぬ耳福を味わうことができた。
曲についての印象は……
ライン
シューマンの特徴は「掴めそうで掴めないごちそう」であるところ。おいしい何かをチラ見せしてすっと隠れてしまう。だから、たとえffとあっても、無神経にごうごう弾いてはいけないのよ。
また、シューマンの音は生き生きと生きているということ。もちろんどの曲でも音は生きていなくちゃいけないけれど、シューマンの音は夢中で遊ぶ子どもみたいな生命力を宿している。先生がしきりに「音楽が止まってしまう」ということを口にされていたけれど、音の流れを感じず、譜面だけ見て演奏していたら確かにそうなってしまう。
それから家に帰ってからふと気づいたのだけど、シューマンを弾いた後は疲れが少ない。少なくともベトベンを弾いた後のような巨大な疲労は襲ってこない。どうしてだろうと夕食を作りながら考えた。
まず思いついたのは、シューマンは全力で刻む箇所が少ないということ。全体的にffの数が少ない。対するベトベンの曲は1楽章につき必ず3〜4カ所はffやfffで刻む箇所がある。ベトベン御大は基本的に「ワシの歌を聴け!」の人だから、ffを見た日には全身全霊をかけて演奏しないと、曲に拒否られてしまう。けれどシューマンは「そんなに見たいっていうなら少しだけ」と美しい宝物をちらりと見せてくれるタイプだから優しく接しないといけないわけで。
あと、シューマンの曲はとにかく美しい。暗く深刻な曲調の時でさえ、嘆きのメロディやハーモニーは耳に優しい。耳が喜ぶメロディやハーモニーを集めて作られたみたいに。聴いても弾いても心にひっかき傷を残してゆくようなマーラーとは真逆だ。「音楽は美しいもの、よきものではなくてはならない」という信念を持っていたのは、確かハイドン楽長だったけど、シューマンもきっと同じことを心に持っていたのではないかと思う。
ドボルザーク
どれだけ美しいメロディを持っているんでしょうねぇ、この作曲家は…!と、曲(コンチェルトだけでなく交響曲なども含めて)を聴くたび、いつも思う。でも、管弦楽法というんだろうか、楽器の扱い方には一種独特のクセがあって「これは9番の2楽章のパクリ(え?)でしょう」などと余計な詮索をしてしまうことしきり。
余計な詮索はさておき、ただ美しいだけでなく、独奏楽器に合わせることの楽しさと難しさを教えてくれる名曲だということに間違いはない。微妙なゆれを読んでうまくソリストとタイミングを合わせるには、楽器の技術はもちろん、空気を読む力がとても必要なんだよね。
さあ、難所の音もめげずにきちろんと取るところから始めなくては。
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COMMENT
No Title
イケメンでしたね!
そうそう、うちのパートのSさんも竹本先生の若いときに似てると
騒いでおりましたよ〜。
それと、言い表し方が一つ一つオシャレだった…
「塩とチョコの出会いみたいに」とか、なかなか!
ドボルザーク、ソロが入ると本当にさらにうっとりですね。
あんな美しいメロディーの中で一緒にステージにのって
一緒の演奏ができるなんて、なんて幸せなんだろうと思いました。
久しぶりのコンチェルト難しいけど、やっぱりすごく勉強にもなるし
終わってからも得るものが多そうですね!
空気を読む力、ほんと必要ですよね。
頭じゃわかってもすぐに反応できない自分が悔しかったです…
どの曲も、やるべきこととか課題がだくさんわかったから
次回までにしっかり練習しなきゃ〜♪
まずは、ソロがどんなことやってるのか
もっともっとそれぞれが理解しないとですね、
Re:No Title
今回、予定より早く復帰した理由はもちろんラインをやりたかったからですが、実はそれと同じくらいチェロコンもやってみたかったんです。好きな曲なので、ただ演奏会で見るだけでなく、練習の場で技術とかオーラを盗み(?)見たり音楽に対する姿勢を感じることができたらいいなぁと。
今思い返してみても、チェリストさんにがっつり付き合っていただけた日曜の練習はものすごい贅沢でした。うん。
来週からまたがんばりましょうね。
No Title
私も設置と後片付けの仕事を仰せつかっていました。
午後から練習に参加する予定でしたが、
なんと13時半には練習が終わっちゃうと知り、
娘を拝み倒し、高額のバイト料を支払いました。
町内会の皆さま本当にごめんなさい。
でも、価値はありましたね~。
チェロの演奏に見とれて何度も落・・・・。
Re:No Title
でも昨日の練習はほんとにおいしかったですよ。本番のチェリストさんはもっと凄いのかしたら。だとしたらよほど練習しておかないと、あちこちで事故だらけですね(笑)
う、うらやましい
そういえば学生の時にシューマンの「春」をやりましたね。譜面面が簡単だったので、1stデビューの曲として楽だったのですが、それだけに終わってしまって、今思うともっと深いものが描かれていただろうに、そこまで追求する余裕とか、欲求がなかったなぁ、と反省してしまいます。
ドボコンも羨ましいです!
Re:う、うらやましい
でもM先生はまだ若く、活躍はこれからという方なので、今後振っていただけるチャンスは必ずあると思いますよ。
「春」>
そうですか、1stバイオリンは楽でしたか?(ちょっと羨ましい)
ビオラにとっては、かなり面倒な音符が多くて、ラインよりも大変でした。でも、曲調が明るいというか、シューマンなりにはじけているので、合奏は楽しかった記憶があります。
表面をさらりとなぞるだけでは本当の味がわからない、というのもシューマンの特徴ですよね。また弾ける機会があるといいですね、シューマンもドボコンも。