一年間お休みして、めでたく復帰に成功した愛知祝祭管。来シーズンの演目、ワーグナーの「リング」3作目「ジークフリート」に向けて、すでに先月から練習が始まっている。
かろうじて譜読みが終わったこのタイミングで、なんとマエストロ来団練習。しかも、土日連続で二日間+一般参加者を迎えてのジークフリート講習会。今年の夏も暑いです。
我らがパートリーダーは「こんなに早くマエストロに来てもらっても、差し出すモノが何もなくて申し訳ない」とほやいていたものの……
一日目の初っぱなは、1幕3場、ジークフリートが親の形見の剣、ノートゥングを鍛え直す場面から。とても力強く派手派手しいシーンだ。1幕を練習するとは聞いていたが、まさか鍛冶場から始まるとは。マエストロいわく「一幕の冒頭は暗いから、最初は景気づけに派手なところを」。確かに目が覚めました。オケが充分あたたまったところで、地を這うようなうめき声で始まる冒頭へ。マエストロ、さすがの策略家だし、オケの空気を読んで臨機応変に対応されるの、素晴らしい。
一幕を全部通してみた結果としては、予想よりまとまっていたようで、マエストロはとても満足された様子。これまでの積み重ねがモノを言って、適切なライトモチーフの処理、というか、「この動機、知ってる!」という感覚がいい風に作用しているらしい。
さらに、初回練習ということもあって、マエストロは良く語る。リング四部作の中での「ジークフリート」の立ち位置、どんな仕上がりをイメージしているか。時間をかけて仕上げるからこそできる音作りがあると知らされる。
一般的にはつまらないと思われている箇所さえ面白く聞かせる。いいですねぇ。
(自分的には、ミーメやアルベリヒ、さらに孫であるジークフリートにちょっかいを出しまくるヴォータンが推しですね。夢破れたおっさんの哀愁が漂っていて大変面白い)
だがしかし。びよらチーム内は阿鼻叫喚の嵐。
弾ける人たちが頑張ってくれているし、弾けない人たちはヤバい箇所では音を出さないテクニックを身につけているので(?)、何とかそれっぽく聞こえるものの、まだまだカオスの中。
真面目に取り組むと、弾いても弾いても弾けない箇所満載で、どうやって制覇したらいいのか道は藪の中、いや、炎の山に阻まれていると表現したほうがいいのかもしれない。ローゲ様(のテーマ)は毎度毎度、手を替え品を替え、形を変えて弦楽器群を攻撃してくるのだから……。
楽器を携えた勇者たちは、一年かけて試練をはねのけ、乙女の眠る山の頂までたどり着きますよー。
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