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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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お祭りの光と影

地元の名物瀬戸物祭り。
毎年何十万人もの観光客を呼び込むお祭りで、出店の数もイベントの量も半端ないのだが、今年は買い物ではなく文化的探訪路線で攻めてみた。




今年の個人的なターゲットは国の重要文化財として認められた「旧・山繁商店」のガイド付き見学会。ただの古い窯屋かと思ったら、瀬戸の繁栄と衰退を見届けてきた建物だった。なんでも、市内有数の卸問屋で、皇族が訪れた際に接待できる立派な離れを持つほどに繁栄したものの、陶磁器産業の衰退とともに廃業に追い込まれて――という流れ。歴史的には大変意義のある建物なので、何とか文化的利用ができないものかということで、市に託された模様。


現状渡しの上、現在調査中なので、中は物置のような状態だった。事務所として使われていたスペースには、電話帳やカタログ、出荷前の陶器、事務机などが隅に寄せられたまま。屋根は一部が崩れていたりする。廃墟マニアなら垂涎モノの状態かもしれない。
かつては高貴な方々をもてなした離れも、後々は従業員宿舎となったとのことで、見晴らしや風通しは大変よいものの、窓には古いカーテンが下がり、畳の上にカーペットが敷かれ、柱の上の方にサ○リオキャラクターシールが貼ったままだったりして、生活感が抜けきらない。
こんな状況ではあるが、学芸員さんはさすがで、古い建物のどこがどんな風に貴重で、特徴的か、あるいは、時代とともに建物の使われ方が変わってきた様子を改装の痕跡から読み解いゆく。戦後まもなく増築された建物のかすがいを見て当時の金属不足を指摘したり、どんどん謎解きをしてゆく。推理小説のようで面白かった。

今後、このスペースをどう活用するかはまだ未定だそうだ。どんな形にせよ、保存&活用にはお金がかかりそうだが、渋いスペースになりそうだ。

続いて、すぐお隣の「旧・川本桝吉邸」へ。ここも、かつて瀬戸の産業を支えた川本家の邸宅だというが、現在は地元FM局のサテライト放送局として使われているようだ。お祭りの間だけ、特製カレーを販売しており、ついでにランチゲット。

(アンティークな箪笥の上に織部の器が飾られていた)

諸般の事情で放置され朽ちてゆく古い建物が多い中、上記の2軒はレスキューされてラッキーなケースだと思う。

その後は瀬戸川沿いにずらりと展開されるテントの店をぶらぶらと見て回る。廉売市で掘り出し物を探すよりは、陶芸作家による個性的な作品を見つけるのが楽しい。
そうして、とあるお茶碗と遭遇。
染付と呼ばれる、白磁に藍色の絵の具で草花をあしらう技法があるのだが、この染付で描かれたチューリップのお茶碗に目が引かれた。持ってみるとほどよい丸みと重さで、しっくりと手に馴染む。お値段がなかなか良いので、少し悩むが、これは作家さんへの投資だと心をきめた。



帰宅してから、新しいお茶碗でごはんをいただくと――
うんまい。
器が味を良くしているわけではない。ただ、自分が本当に気に入った食器で食事をするということの満足感がすごいのだ。
実は、今まで自分が使っていた茶碗は、頂き物や余り物など、とにかくそこにあるモノを使ってきた。だから、食器は機能的(使い勝手が良く丈夫で長持ち)であれば良い、と思っていたのだが、食事をするたびにお気に入りのデザインに会えるという体験はひどく新鮮で……いやあ、たかがお茶碗、されどお茶碗。

後日知ったことだけども、このチューリップの絵柄を描いた作家さん、染付だけでは食べていけなくて、今は某所でアルバイトをしているのだとか。それが現実なわけで、やっぱりお茶碗買ってよかった。



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