愛知祝祭管練習記「ラインの黄金」編です(ここに来て、回数を数えるのは放棄)。
今回の練習は、久しぶりのマエストロ来団練習だった。この日に合わせて、祝祭管のスタッフはリング全曲演奏会のためのロゴ入りTシャツやトートバックを販売。さっそく購入し、昼休みのうちにお着替えしてみた。(写真も撮ってもらったけれどここでは
後悔 公開しません)今年選ばれたロゴ(台詞)は
Zurück vom Ring!(指輪に触れるな)
愛を断念してラインの黄金を強奪したアルベリヒによって生み出された指輪は、ヴォータン(神々の王)→ファフナー(強欲な方の巨人)→ジークフリート(ヴォータンの子・半神)→ブリュンヒルデ(ワルキューレの一人・ジークフリートの彼女)→謀略にはめられたジークフリート、という順に、呪いとともに巡り、最終的にはラインの乙女たちのところへ戻るのだが、その直前、アルベリヒの息子、ハーゲンがライン川の氾濫の中で乙女たちに向かって「Zurück vom Ring!」と叫ぶ。なにしろ親の代から取り返したくて仕方のなかった指輪だ。しかし彼は川に引きずれ込まれ溺れ死んでゆく。世代をまたいだ執念が表われているのはもちろん、指輪の呪いが凝縮されている台詞だ。よくよく考えれば恐ろしいTシャツかも。
ついでに言えば、「こんなに弾くのが大変な”指輪”に関わるんじゃなかった」という自分の本音ともリンク……げほごほ。
さて、久しぶりにマエストロの棒で演奏してみると、できていないところがボロボロ出てきて、このままではアカンと反省しきり。難所が弾けないのはある程度しかたないが、モチーフごとの性格を出したり、それらが組み合わさった時の対比を出すことは、ちゃんと予習しておけば、つまり楽器を持たずとも、音源を聞くとか楽譜を読み込むなどすれば、もう少しできるはずなのだ。
面白いのは、モチーフごとにテンポ感がある程度決まっていること。例えば、巨人のテーマは基本的に重いし、ドンナーが雷を落とす場面はいつも同じテンポだ。音程、音色、リズム込みでひとつの雰囲気を表わし、リズムの中には「速さ」も含まれている。このあたりは、一定の速度で音楽が進む交響曲ばかり弾いていては、なかなか理解できないポイントだろう。
しかも、各モチーフは、それがどんな意味で使われるかで速度やテイストが変わる。この変化についてゆくのは難しく思えるかもしれないが、きちんと状況がわかればああそうかと納得できる。雰囲気を読むのではなく、理詰めで理解できる。ワーグナーが面白いのは、さまざまな性格のモチーフが用意されており、それらが物語を説明するだけでなく、進行に合わせて少しずつ変形したり、うまく組み合わさったりして、最終的には音楽的に自然な流れになっているところなんだな。やっぱりすごい曲だ。オケやってなかったら、一生理解できなかった世界かもしれない。
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