今回はびおら練習記番外編ということで、年末、突発的に行われた母校での譜読み大会の話。
この坂の向こうに練習場の建物が見えます。
見えますが、中に入るまで相当な遠回りをする羽目に
その話が持ち上がったのは、11月の半ば。母校オーケストラの先輩たちが「OBや現役が集まって、何か曲を演奏しよう」という企画を立ち上げ、主にフェイスブックで拡散された。何を演奏するかといえば、「ベト7」ことベートーヴェンの交響曲第7番。「のだめカンタービレ」で登場して以来、すっかり有名になったあの曲。ベートーヴェン好きなら、ほぼ全員がお気に入りとして挙げるにもかかわらず、トロンボーンパートがないので、学生オーケストラではなかなか演奏されないという、ちょっと曰く付きの7番なのだ。
もちろん私は二つ返事で参加(仕事が年末年始休暇中だったせいもある)。果たしてオケ一個分の人数・パートが集まるかどうか謎だったが、素晴らしいことに、ちゃんと集まった! OBだけでは足りないパートは友人・ご家族にお手伝いで来てもらい、2管編成のオケがととのった。ビオラなんぞ堂々の4プルート。指揮は、現役のころ学生指揮を務めていた某大先輩。
私はこの日がもう楽しみで楽しみで、大掃除をほっぽり出し、クリスマス時期に拾ってしまった風邪の諸症状を薬でなだめて出かけましたとも(おかげで音程がよく聞き分けられない)。
懐かしの練習場は、すでに築30年。私が在籍したころは、完成直後でどこもかしこもきれいだったのが、今となっては練習室のドアも広いリハーサル室の中もすっかり古びて貫禄ありすぎ。ていうか、リハ室の面積3分の1くらいが楽器置き場になっていたりするのね。
集まったメンバーを見渡すと、なぜか馴染み深いお顔がちらほら。いや、「ちらほら」どころではなく、そこかしこに。というのも、母校出身者が少なからず愛知祝祭管にいる関係で、「お手伝い」として来てもらった人たちのほとんどが祝祭管メンバーだったりするのだ。いつもワーグナーと格闘している面々がベト7をやる。安心感があると同時に新鮮。ふだんは超重たい曲をやっているぶん、ベト7は軽く感じる。決して簡単とは言わないし、技巧的にも凝っているのはよくわかるけれど。
「譜読み」といいながら、最初からインテンポで。社会人オケで活動していれば、一度や二度は本番でやったことがある曲なので、みんなついていける。弦楽器はなかなか好調。管楽器群は頑張れーという感じで(特にホルンにとっては大変な曲です)。
ビオラの譜面ばかり見ているとわかりにくいが、まわりをよくよく聞いてみると、曲にアクセントや彩りをつけているのは、くやしいが決定的に管・打楽器だ。1stバイオリンはもちろんメロディ。チェロバスも低音部のメロディもしくは和音の支え。内声部はメトロノーム役と和音の穴埋め役(別名:デコレーションケーキのスポンジ部分)。ひたすらメロディや踊り手を支えるために刻みまくる。
ベト7が面白く聞こえるのは、安定した弦の音色に、管楽器のフレーズが上手くのっかり、色を出せたときなんだよな。逆に言えば、弦が安定していなければ、管楽器が安心して踊れる足場がないわけで。楽しく踊るにも基礎は必要ですよ、奥さん。
ベト7を聞くとアドレナリンが出るという話はオケ関係者の間でわりとよく聞くが、ガンガン弾いて、我に返ってみれば、風邪は快方へ向かっており、持参の薬を飲まずになんとかなった。
よくわからないけど面白そうだからという、それだけの理由で、かつて学生オーケストラに在籍し、今も演奏活動を続けているメンバーが集まり、一日限りの演奏を楽しむ。ついでに旧交を温めたり、初めて出会う先輩や後輩と話をしたり。なかなか素敵じゃないですか。
今回集まったビオラパートのうち、知っている人が半分。あとの半分は「初めまして」の遠い後輩や先輩ご夫婦のお嬢さん。そういう人たちともいっしょにゴウゴウ弾いて一体感が得られるのだから面白いし、今回のイベントをきっかけに人の輪が広がる。
とても楽しかったけれど、毎年企画することにしてしまうと世話役の方々が大変だと思うので、あえて不定期でなにか演奏したくなったら企画する、という形でちょうどいいかもしれない。
夕暮れ時の校舎と月。譜読み大会の後は、
すっかり新しくなった学内ツアーでした。 メインストリート沿いに設置されていた
キリスト生誕時のジオラマ。
これも懐かしい。けど、リニューアルされてるような?!
クリスマスの四週間前から展示されるのが恒例で、
お片付けは恐らく公現祭の1月6日。
PR