先日の敬老の日は、娘が通うピアノ教室の発表会。
昨年から自分も生徒なので、春先からすでに「どうですか〜(^^)」と先生からお誘いを受けてはいたが、なにぶん、ブラームスオケと本番が近く、うっかり参加した日には大変な夏になるだろうと予想されたので、やんわりお断りしてきた。
ところが、娘はハハの多忙さを知ってか知らずか（ちゃんとわかっていたと思うけど）企みをひとつ抱えていて、ハハのお断り作戦をすっかりぶち壊してくれたのだった。
それで結局、親子で参加する発表会。
まったくこの夏はブラオケの他にも家族的な大イベントがあって、身体が3つあればと何度も思いましたですよ。
ピアノ歴8年で高校生の娘は、チャイコフスキーの「舟歌」を、そしてまだバイエルも終わっていない自分は、大人の生徒さんと組んで「エトピリカ」のアンサンブルを。
もちろん担当パート譜はきわめてシンプルなもの。それでも必死で、冷や汗かきながらの本番であり、幸い相方を努めてくれたのがエレクトーン歴の長い人だったので、それなりに聞ける演奏になったかと。
そしてもうひとつ、親子アンサンブルを。
これがすべての発端。これがなければ、発表会参加はなかったはず。（エトピリカは、一つ出るもニつ出るのも大して変わらないから、と先生から強制的に曲をもらったもの）
今年の冬から春にかけて、娘はいつの間にか、フォーレ「シシリエンヌ」の伴奏譜を引っ張りだして密かに練習しており、発表会の曲を決める際に「これを弾きたい」と先生に申し出たらしい。
実はシシリエンヌは6年ぐらい前の大人のプチ発表会で、私自身が先生に伴奏してもらって弾いたことがある。その時の楽譜を持ちだしていたわけだ。
ためしに娘が先生の前で弾くと、かなり仕上がっていたようで、次のレッスンの時に「お母さん、いっしょに弾いてあげて下さい」と話がまわってきた……orz 過去に一度やっているので「弾けませーんw」なんて、とても言えるわけもなく。
で、実際に親子で合わせて練習すると。
「音程がひどい。カラオケで微妙に音を外す人みたい」「もっと響く音は出ないの？」「たまに金属的なキーキーこすれる音がするけど、聞いてるとつらい」などなど容赦無い指摘が娘から来る。しかもどれもこれも的のど真ん中を突いていやがります…orz
はいはい、音を正確にとればいいんでしょ、もっと楽器を鳴らせばいいんでしょ、と開き直りつつ、5月いっぱいはホームオケの練習で、8月いっぱいまではブラオケの練習でちっともシシリエンヌはさらえない。救いはブラオケの練習で基礎力を上げる方法を知ったことか。
結局、本気を出してさらった期間が約10日間。直前まで娘と合わせると必ず事故が起きてところどころ落ちてしまう状況で。
でも本番では、ちゃんと最後までまともに通りましたとも。もちろん、細かいことを言えば残念な箇所はいくらでもある。楽器は鳴りきっていないし、音程も微妙なところだけでなく、ポジションを上がりそこねて完全にはずしたところもあるし、ダイナミクスの付け方も不完全。けれど、本番の演奏がいちばん出来がよかったと言いますよ、もう。（娘が冒頭でコケた以外は。←練習で絶対にあり得なかったミスが起きるのが本番）
自分的には満足でもお客様には気の毒な演奏だったかもしれないなぁ、まあ、お稽古の発表会だからそんなものかと思って、ステージを降りたら、あとで老婦人に呼び止められた。おそらくお孫さんの発表を聞きにいらしたのだろう。その方はわざわざ「さっきの曲、シシリエンヌでしょ、ビオラの音で聞くのもいいですねぇ」と告げて下さった。嬉しい、というより驚きの気持ちが先に来た。自分の家族目当ての聞き手がほとんどを占める中、きちんと他の出演者の演奏にも耳を傾けて味わってくれる人がいたのだ。
ああ、もっと練習しておくんだった、と思った。
音とリズムを正確に取るだけでなく、楽器をしっかり鳴らして良い音色をだす、あるいは自在に音色をコントロールして音の奥にあるものを表現する練習を。
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