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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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のだめ演奏会本番(おまけ)

着替えを済ませ、楽屋から出てロビーを見下ろしたら、あらびっくり。まだ熱気が冷めるどころか、人でごった返している。混雑の原因はサイン会。茂木先生の著書などを買った人たちがずらりと並んでいた。サインのテーブルは三つ。茂木先生、ピアニストの三輪郁さん、バソン隊隊長の小出清さんとお見受けした。

お客さんたちは、長蛇の列を作って辛抱強く順番を待っていた。が、ひとつだけ誰も並んでいないテーブルを発見。それが小山さんのテーブルだった。
なんという幸運! 一番サインを頂戴したいと思っていた方だった。のだめを読んでものすごく興味がわき、実際に本物を目にして直に音を聞いて、ますますほれ込んだバソン。そのバソンをプロとして演奏する日本で唯一の方。すかさず荷物をひっさげて即行。

舞い上がった私は、愚かにも「バソンとファゴットの違いは何ですか」とたずねてしまった。これはのだめ本編の中でも書かれているし、コンサート中にもステージの上で茂木先生が解説したというのに。でも、それだけではどこか納得できなかったのは確か。実際に演奏している方から伺ってみたかった。

小山さんは「音色ですね」と即答。他にも材質が違うとか運指方法が違うなど挙げて下さった。さらに後ろに誰も並んでいないのを確認しつつ、図々しくももう一つ質問。のだめでバソンが登場して以来、ずっと気になっていたことがあるのだ。

「春の祭典」の冒頭は本来バソンで演奏するものでは?

ビンゴだった。ストラビンスキー自身、あの冒頭部はバソンを前提として書いていたということだった。それだけでなく、小山さんはこんなエピソードを教えてくださった。

初演の際に作曲者はバソン奏者に「冒頭はニワトリが首をしめられるような音で」と注文したが、バソン奏者は「そんなみっともない音は出せません」と、突っぱね、実際美しく演奏した。その後、ストラビンスキーは春祭のレコーディングの時、違うバソン奏者から「先生、冒頭はどのように吹きましょうか」と尋ねられて「美しく、ただ美しく」と答えたという話。

ビバ、バソン! ビバ、フランス人!

しかし、バソンが絶滅危惧種となってしまった現在、春祭の冒頭はほとんどがファゴットだ。あの驚異的な高音のメロディは、高音域の美しさを誇るバソンだからこそ効果的なのに。ファゴットを使ったら、それこそ「ニワトリの首をしめたような音」が出てしまう。(もちろんそうでない演奏はたくさんあります)
そこで、思わず「バソンで春祭を聞いてみたいです」と叫んだら、小出さんは「アンケートで二ノ宮先生にお願いしてみたら」とおっしゃってくださった。
さて、天にも昇りそうな心地のまま小山さんにお礼を言ってテーブルを離れたら、あらら、後ろに行列ができていた。

 
魔法使いの弟子

「魔法使いの弟子」のパート譜に
ゴールドのマーカーで書いていただきました。
まさに"黄金の"サインです。
バソンのイラストがお茶目♪


※バソンについての詳しい解説、エピソードなどは「日本バソンの会」のHP、または小山清さんのHP「バソンの世界」にあります。



これでのだめオケの話はおしまい。
プロの技に触れ、間近で観察し、美しい音を堪能できた貴重な機会。自分も、もっとびよらの腕を磨きたいなあ。


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のだめ演奏会本番(おまけ)

  • by ブーハ
  • 2007/06/29(Fri)23:32
  • Edit
春の祭典のお話。とても興味深く読みました。
思わず手持ちの春祭の楽譜(ブーシー&ホークス)を見てしまいました。
楽譜の編成表には「Bassoon」,楽譜には「Fagotto」。何で統一してないの?

ちなみに,ボレロの楽譜には「Basson」とちゃんと書いてましたよ。

Re:のだめ演奏会本番(おまけ)

  • by O-bake
  • 2007/06/30 23:44
なかなか味わい深いエピソードでしょう? フランス人は自分の価値観を曲げないので有名なんですけど、そういう意味でも興味深いですよ。

>楽譜の編成表には「Bassoon」,楽譜には「Fagotto」。何で統一してないの?
>ちなみに,ボレロの楽譜には「Basson」とちゃんと書いてましたよ。

今、手元にボレロのスコアがあります。(音楽之友社)編成表は、フランス語と日本語の両方で表記されてまして、バソンはどうだったかというと、「ファゴット,Basson 2」とありました。つまり、ファゴットをフランス語にするとBassonになるという解釈です。本当は違う楽器なのに。(もちろん、viola=altoで全然オッケーです)
どんな風に違うかといえば、そうですね、最大の違いはやはり音色なんですが、ファゴットの音は渋くて生真面目。バソンは艶やかな音色で、華やかです。男性と女性ぐらいの違いはありますよ。

のだめ演奏会本番(おまけ)

  • by くるりん
  • URL
  • 2007/06/30(Sat)06:36
  • Edit
一応、Goldで。。。
あはは~、の「おまけ」でしたね、ラッキー♪
いやー、三輪郁さんの所で反応しちゃいましたよ。
先日、某会員制倶楽部で三輪さんの生演奏聴いたばっかりですからねぇ。すっとこどっこい!
我が家は只今、「スコア大量に紛失?事件」に追われております。暑い中、更に汗をかくハメになったくりるん♂
ハルサイのスコア、見てみたいな~。早く出してね~( ̄▽ ̄)ノ
あ、遅ればせながら、演奏会お疲れ様でした♪

わっ、見にくいのでカラー変えます!

Re:のだめ演奏会本番(おまけ)

  • by O-bake
  • 2007/06/30 23:53
ねぎらいのお言葉ありがとうございます。
三輪郁さん、そういえば、くりるん♂さんの音楽館でちらりと登場してましたね。のだめ演奏会では、ラベルの協奏曲をお弾きになりましたが、2楽章は本当に美しかったです。

スコア>早く出てきますように。うちのスコアは、その昔本棚に置いといたら、当時2歳の娘のオモチャになって、何冊かは背表紙がボロボロになってしまいました。(>_<) それ以来、箱につめて高いところに隠してあります。(って、今でも?)

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