先日7/13の練習は、バッハのドッペルコンチェルト、マイスタージンガー、ブルックナー8番の2~4楽章。
びおらの出席数は5人。悪くない人数だ。が、諸事情でまたまたサイド席
に でお邪魔することになった。弾ける人たちに囲まれると一音外しただけでもまるわかりなので、緊張感半端ない。(いざとなればエアびおらだけどね…)
バッハやマイスターは、まあ気楽なもので、やはり本命はブルックナー。
大音量で刻む4楽章がしんどいかと思いきや、静かにじわじわ盛り上がるタイプの3楽章のほうが精神力の消費量が多かった。
3楽章のビオラのパート譜は半分近くが和音を作るためのロングトーンで、とても動きが少ない。曲を聞きながら譜面を読んでいると確実に寝落ちできるレベル。ところが合奏で弾いてみると、常に緊張感を強いられてなかなかしんどい。というのも、このロングトーンは和声を支えるだけでなく、曲の雰囲気、幽幻の世界を思わせる音色の源になっているからで、まるで体に溜め込んだ息を少しずつ吐き出すような要領で細く長く集中力を持続させなくてはいけない。主旋律が盛り上がれば、それにぴったりつける。気を抜くととたんに生々しく現実的な響きになってしまうので要注意。
幽幻の森を抜けたあとはアルペジオの嵐が待っていて、少しずつ和音が移り変わる様は、傍目から正しい演奏を聞いていると、それはそれは美しいのだが、弾く方は……ねぇ。(モルダウの鬼のようなアルペジオに比べたらマシだけども) ここでさらにMP消費。その後はト音記号による高音域のトラップがあって、終止線にたどり着くと、安堵のため息がもれる(この後は華々しい4楽章が待っている)。ああ、長い楽章だったと振り返ってみれば、本当に長い。手持ちの演奏ではおおよそ22分。ドビュッシーの小組曲2クール分あるね。
でも、この8番シンフォニーを通して聞いているうち、ブルックナー御大が一番伝えたかったのは3楽章だったのではないかという気がしてきた。幽玄の世界に展開される神々しさ、美しさは、いったんその価値に気づいてしまうと(長いし眠いけど)頭から離れなくなる。この3楽章と張り合えるのは、たぶんベートーベン第九の3楽章ぐらいじゃないかなぁ。
さて、気分を変えて華々しく突き進む4楽章ではちょっとした珍風景を見てしまった。たぶんビオラのサイド席にいたからこそ目撃できた光景。
それは「跳ねるコンマス」。
全体的に起伏の激しい4楽章だけども、たしか練習番号Y前後での出来事だ。その直前から金管楽器が鳴り響く中、弦楽器が力いっぱい刻んでオケはがんがん鳴っているのだが、さらに盛り上げるためにいったんわずかにボリュームを落としてクレッシェンドをめいっぱいかけ、Yでひとつのクライマックスを作り上げる。
Yに突入したその瞬間、コンマスのおしりが浮いた。イスの座面で2回はねるところまでしっかりと目の端でとらえてしまった。曲に対する思い入れがたいそう深く、演奏においては非常に熱い方だと前々から聞き及んでいたのだが、ここまで気合が入るとは。「これが噂の……?」と思うと同時に、すみません、笑いのツボを直撃されました。…orz…
オケ全体が全力で演奏しているって時に、どうしてひとり笑いをこらえる羽目になるんだか。
※写真は北海道旅行の時に撮った「霧のない」摩周湖です。
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