さて、今度は前の記事で取りこぼしたあれこれを記録。
個人的萌えポイント
・なにはさておき、怪しさ全開、歌は最高、そして演技力たっぷりの合唱団のみなさんが素敵だった。本番では黒服にサングラス+金のマフラーというMIBのような姿で登場。練習はさぞかしハードだったと思うが、リハでは楽しそうだったなあ。
・可憐でしたたかなグートルーネさん。花嫁姿が本当に愛らしくて、声のトーンもグートルーネ役にぴったり。これからもいろんな場所で歌って欲しい。
・「ラインの黄金」以来久しぶりに登場するラインの乙女たちは、なんだか妖艶度がパワーアップしていて、コーラスにしびれた。そもそもの話、彼女達がアルベリヒをからかったりしなければ、ラインの黄金は盗まれず、神々の世の破滅も起こらなかったというのに、それでも男性を誘惑し弄ぶのが彼女たちの本性なのだから、仕方ないと思えてしまう。
・いっぽうアルベリヒ氏はついに亡霊のような姿に成り果て、2幕1場のみの登場だったけれど、抜群の存在感で舞台が引き締まっていたなあ。
・今年のジークフリートは、脳筋というよりは繊細で純粋なタイプ。拾い集めた感想を見る限りでは賛否両論渦巻いているけれど、新たなジークフリート像を打ち出すという意味で、私は大賛成。
・我らが超強力なヒロイン、ブリュンヒルデは圧倒的なパワーでほんと凄いとしか言いようがない。愛する時も憎む時も全身全霊なのが伝わってきて、演奏側も見事に呼応できて、結果があの三幕。彼女なら神々の世を終わらせることができるという説得力に満ちた演奏になった。
ここからは補足だが、彼女は世界を救うために火の中に飛び込んだのではなく、父であり神々の王であり、破滅の根源であるヴォータンを救うため、何より自分の愛を成就させるためにそうしたのだろう。結果的に世界はいったん終焉を迎え、再生が可能になった(=救われた)。このあたりは、ワーグナーは言葉で結論を出さずにいるので、音楽から推測するしかないが、自分はそう考えている。
蛇足
さて、自分はというと。
明らかに身の丈を超えた演奏会に参加できて、感謝しかなかった。「ラインの黄金」の譜面をもらったときから「こんなんできるかい!」と呆気にとられ、次の「ワルキューレ」では家庭の事情もあってお休みし「ジークフリート」で幸運にも復活を果たし、それでも転職でうっかりサービス業を選んでしまったがために出席率が犠牲になり「神々の黄昏」では、仕事の都合で練習に参加するのも難しい状況で、一度は断ったものの、ここまで来たのだからとビオラパートの13人目として参加。13人もいるので(エキストラはまったく必要なし! コレはマジで珍しいと思う)、まあ、いつリタイアしてもいいかな、ぐらいの気持ちで。
しかし、いくら頑張っても出席率は6割程度。これが第九などの経験値の高いシンフォニーなら何とでもなるのだが、パート譜が90ページを超えるような大作でオーケストレーションの難易度が高い作品なので、どうやって参加できない練習の穴を埋めようか困った。録音が大変役に立ったのは言うまでもないが、曲全体を身体に染み込ませるのが間に合わず、また個人練習が追いつかなくてこれは本当に残念だった。
正直、リベンジしたい気持ちがなくはないが、今の仕事との両立はかなり厳しいものがあるので、来年のリング全曲抜粋版はお休み。たぶん、客席で存分に楽しむ(!)ことになりそう。
とりあえず、団長との約束は果たしたのでOKとしよう。
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「リングまでヨロシクです」(祝祭管に入ったばかりの頃のブログ記事へのコメント。
当時は指輪をやる前にコソッと抜けようと思っていた。今だから言えるけど/汗)
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