演奏会が終わったあと、楽屋で「ソロ弾いてくれて嬉しかったよ~!」とインペク(インスペクター)さんに声をかけられた。これには、深いってほどではないにしても、少々わけがあって。
今回のクリコンのメンバーには、プロの弦楽器奏者が結構入っている。人数不足を補うため、日ごろからお世話になっているトレーナーさんをはじめ、その知り合いの方にも声をかけてもらい、出演してもらった。
まあ、それは珍しいことではないし、そういった方々の助け無しには演奏会がまともに成り立たなかったのでは、と思う。
インペクが気にしていたのは、たぶん、プロがトップに座ったことだと思う。第一、第二バイオリン、それにチェロのトップがプロ奏者。だから、パート紹介の時のソロ演奏も団員でなく、プロの人が弾く。上手く弾けるのは当然だから、無難と言えば無難だけど、それではある意味団員の面目が立たないと感じていたのだろう。
実は私も「トップはどうする?」とか「ソロどうする?」と何度もバイオリンのパートリーダーに尋ねられていて、そのたびに自分がやると言い切ったけど、何度か迷った。
びおらの場合は自分がトップに座り、サイド(隣の席)をトレーナーさんにお願いしてあるので、交代するのはとても簡単だけど、なんだかひっかかる。あえて言葉にすれば、「一寸の虫にも五分の魂」というか、自分の団の演奏会なんだから、団員が頑張らなくてどうする? ということだ。その一方で、プロと比べたら音はどうしても劣るわけだし。(T_T)
で、当日のゲネプロ前まで悩んで、トレーナーさんとも相談して、結局自分がソロを弾くことに。
本番では、まあ、なんとか。わずか4小節なので一応暗譜して客席を見ながら弾いたつもりだし、緊張のあまり右手でビブラートがかかるとか、自分のところだけ異様にテンポが早くなるという事態に陥ることなく終わった。(顔はひきつっていたと思うけど)
それだけで充分ほっとしたので、楽屋でインペクさんにああやって言葉をかけてもらえた時にはちょっと驚いたし、嬉しかった。そりゃ、団員なりの矜持ってものがあるわよね。
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