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びおら弾きの微妙にズレた日々

リハーサル

演奏会前日のリハーサルは、本番会場にて、18時~21時まで。
この時にはじめて本番ソリストと音を合わせる。
夜の10時半ごろ、へろへろになって帰ってくれば、家の中は……。
脱ぎ散らかされた服、カレーがこびりついたままの食器、出しっぱなしのおもちゃ。
これを片づけてからでないと、寝れないのね、とた大きなめ息をつくも、すでに寝てしまった家族には聞こえず。
リハーサルという名の最後の特訓(?)が始まって、まずは仕上がりが不安なシベリウスの2楽章をやる。問題の箇所(金管の強奏のあと、静かに始まる弦のメロディ)は何度もやり直してもらえたので、ずい分感覚がつかめてきた。

これ、同じパターンが2回あるのだが、1度目と2度目では微妙かつ大きな違いがある。
1度目を弾くのは、バイオリンの1st、2nd、ビオラ(そして確かフルート)。音の大きさはppp、つまりピアニッシシモ。調は♯が5つのH-dur(またはBメジャーまたはロ長調)
2度目はビオラ、チェロ、(たぶん)クラリネット。音の大きさはmf。調は♭が一つでd-moll(またはDマイナーまたはニ短調)

1度目は天上のメロディっぽく、2度目はやり場のない悲しみを表現すると、指揮者から聞いて、なーるほど、とうなづいた。

確かに、1度目は高音部の楽器で、長調、そしてダイナミクスは最小ともいえるPPPだから、うまくいけば、天から美しい音が微かに降りてくる、そんな雰囲気になる。
反対に2度目は、中~低音が中心で、短調。ダイナミクスは決して小声ではないmfだから、楽譜の指示どおりに演奏すれば、嘆き節になるはずなのだ。

理屈がわかれば、あとはそれをうまく表現できるように弾きかたを工夫すればいいわけで、とりあえず自分なりにできるところまでやってみたが、あとは当日うまくいくように祈るしかない。

さて、リハが始まって約一時間後、今回のソリストとご対面。黒髪巻き毛の、チャーミングな男性が登場した。挨拶は訛りのきつい英語。second をセカンドではなくセコンドと発音する。今年はイタリアから中堅(たぶん)のピアニストを呼んだのだとか。モーツァルトが得意な奏者らしい。
いざ合わせて見ると、なんだか弾きやすい。意外とシンプルな、古典的な演奏だなぁと思いつつ、でも音の粒は恐ろしいほど立っていたし、カデンツァの強奏部分では、思いっきりピアノを鳴らすのなんのって。ピアノのすぐそばに座っていたせいもあって、一瞬、頭の芯がジーンとしびれた。指の力は相当なものだろう。(それは、演奏会当日のの凄まじいアンコール曲でますます明らかになった)
幸いソリストは、オーケストラの音を気に入ってくれて、和やかな雰囲気でリハーサルは終わった。翌日のゲネプロの時にも強く感じたのだけど、このピアニストは音楽を心から楽しむ人なんだなあと。だから、うちのオーケストラに対しても、技巧とは別のところにある、音楽に対する熱意みたいなものを感じ取ってくれたのだろうと思う。

協奏曲に明るい見通しができたところで、リハーサルは終了。シンフォニーの残りは翌日のお楽しみ(?)となった。
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