というわけで、祝祭感「黄昏」練習記です。
本日はマエストロ降臨で、一幕+序幕少々。比較的わかりやすい部分だけども、長い。音符の量、調号の量、ともに多い。何度書いても書き足りないぐらいだ。でもちゃんと食らいついてゆきましたよ。
チラシも完成♪
煽り文句が大変カッコいいです
いきなりだけれど、本日のメインは1幕2場冒頭、トロンボーン隊が吹き鳴らす「呪いの動機」。これはジークフリートの宿敵ハーケンが脚光を浴びる瞬間の音楽で、マエストロいわく、ここは歌がかき消されてもいい、呪いの動機が高らかに響き渡れば良いとのこと。
というのも、「神々の黄昏」のテーマが世界の没落にあるとすれば、その引き金となるハーケンは悪の象徴であり、実質的な主役は彼だからだ。もしかすると、英雄ジークフリートは悪を演出するための最上級の引き立て役なのかもしれないし、あまつさえ、マエストロはブリュンヒルデによる救済の動機は
オマケとまで宣った(!)
オマケとはこれまたワグネリアンに喧嘩を売るような真似を…と思ったが、でもオマケだと考えれば、ワーグナーがなぜラスト部分の作曲で迷いに迷ったかが理解できるような気がする。悪による神々の没落がテーマなのに、無理に救いのあるラストにしようとするからまとまらなかったのでは? もちろん、救済があるからこそ安心して破滅の世界に浸れるわけだし、長大な楽劇を聞き終えたときのカタルシスもあるわけだが、でも、本質はあくまでも悪と滅亡だよと。ワーグナーは悪と滅亡を最高の音楽で肉付けしている。そりゃ、魔力的な魅力があるわけだ。
さて「悪」と一口にいっても、さまざまなイメージがある。マエストロいわく、ハーケンが体現している悪とは人の弱さ、欲望につけこんで破滅を呼び込むタイプの悪だという。これはキリスト教で登場する悪魔と同じタイプではないか。とてもわかりやすい。
実際、ハーケンは巧みに策略を立ててジークフリートの欠点を露呈させ、ブリュンヒルデのプライドと嫉妬心に火をつけ、さらにはグンターとグートルーネのコンプレックスを上手く利用して、ものごとを自分の都合の良い方向、つまり指輪奪還の方向へ持ってゆき、ジークフリートの殺害までは成功した。神々の世界が没落するにはそれで十分だった。

チラシ裏面の煽り文句
(クリックすると拡大します)
内容は下記の通り
愛の絶頂にいるジークフリートとブリュンヒルデ。
英雄は旅に出る。
世界を終末に導く悲劇の幕開けとも知らずに。
騙し、裏切り、策略。
アルベリヒの呪いは世代を超え、
ハーゲンが仕掛けた奸計に命を吹き込む。
想い、愛、勇気、情熱。
それらは全て、悪の餌食となる。
英雄が武者修行の旅先で飲まされたのは忘れ薬。
神性と共に智慧も失ったブリュンヒルデは
愛を忘却した夫に誇りまでも奪われたのだ。
前作、ジークフリートで見た、
果てのない眩しさ煌びやかさは影をひそめ
陰惨で残酷な物語が世界を支配する。
指輪という権力の象徴に翻弄された者たちの、狂った運命。
英雄は死に、世界をも飲み込んでゆく。そして…
4年にわたる三澤・愛知祝祭によるRINGの物語、
ついに完結。
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