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びおら弾きの微妙にズレた日々

幻想の終わり

今回の演奏会は完全燃焼だった。本番が一昨日で、昨日は抜け殻状態。演奏中は悪魔ではなく、作曲家に魂持って行かれそうな勢いだった。
それもこれもマエストロI先生のせいおかげだと思う。

演奏曲目
ラヴェル 古風なメヌエット
ドリーブ バレエ組曲「シルヴィア」
ベルリオーズ 幻想交響曲

古風なメヌエット
とにかくクールな曲。冒頭に鳴り響く和音の中で、いきなり音がぶつかり合っているのだが、その響きが素敵すぎていきなり心を掴まれた。しかも正拍から入っていない。3拍目の裏から始まり、ずっとシンコペーションのまま曲が進行するという粋さ。
題材は中世の音楽から取り、そこに当世風(つまり19世紀風)のアレンジを付け加えているので、きっと今の言葉で言うレトロモダンな仕上がりを狙ったんだろうなと思う。
マエストロから求められたのは、とにかく響きや余韻を含んだ音。ガツッとかゴリッという音は禁止。霞がかかったような音になってもリズム感は失っちゃダメ。するとなんかフランスっぽさが出る。
マエストロいわく、この曲から立ち上る香りは、旧家や寺院(もちろんフランスの)にありそうな古い古いタペストリーの匂いなんだそうだ。
で、当日の出来映えはというと、音響はホールに手伝ってもらって、それっぽさは出せたのではないかと。
自分的には、本番当日にやっと落ちなくなったという……(汗)

シルヴィア
これは、バレエ音楽を演奏会用に組曲にしたもので、当然ながら背景となる物語を持つ。
シルヴィアというのは、月の女神ダイアナに仕えるニンフで、彼女が人間の狩人と結ばれるまでのドタバタがメインの話。その中から組曲に抽出されたのが、狩りの女神としてのシルヴィアが登場する「前奏曲と狩りの女神」、シルヴィアに付き添うニンフたちが水浴びをし、続いてシルヴィアが魅惑的に踊る「間奏曲とゆるやかなワルツ」、ダイアナの神殿付近で演奏される「ピチカート」、神殿で執り行われているバッカス祭りを表す「バッカスの行進」。
これはめでたい喜劇だし、主人公が美しいニンフなので、演奏もできるだけそのように。(マエストロが何度も踊るニンフのマネをしてくれたけど、うーん……。バイオリン族のお姉様たちが踊ってくれれば非常にわかりやすかった?)
びおらーずはほとんど伴奏担当だったので、心の中で管楽器&1stバイオリンさん、よろしく♪ と思いつつ、すっかりリラックスして淡々と弾いていた。時々♯や♭が落ちてもあまり気にしない。(というか、楽譜自体、抜け落ちがあって適当だったし。カルマス版のパート譜は要注意)
お客さんの反応は結構良かった。拍手が割と積極的だったし、アンケートにも「知らない曲だったけど楽しかった」という嬉しいコメントがあった。

幻想交響曲
真打ち登場でございます。前半は穏やかで比較的淡々と振っていらしたマエストロがここで変貌。ベルリオーズに取り憑かれました。
さてさて、4楽章&5楽章の狂気の沙汰はいつも通りの迫力で、こちらとしても全力で弾き、ある意味爽快に終われたのだけど、一番泣きそうになったのが、実は一楽章だった。
リハーサルの時から思っていたのだけど、一楽章を弾いていると、やたらと敬虔な気持ちになるのだ。神……というと言葉の意味が狭いな。神+運命の力+一目惚れの神秘に対する、恐れにも似た気持ちがわき上がってくる。しかもそれはffでガンガン弾く箇所ではなく、「恋人」のメロディを密やかにあえて抑え気味に奏でる箇所(360小節以降)でそう感じた。恋に目覚め、その予想もしなかった熱さにおののき、今度は喜びをもって恋愛感情を確認し、最後に嬉しさと慕情が爆発して、祈りの和音で締めくくられる。この時はまだ新鮮で神聖だった恋愛感情が後半の狂気へ変貌してゆくことを思うと、それだけでぞくぞくするわけで、ごはん三杯はいけると思った(違!)
とにかく、ベルリオーズが編み出した比類無い物語と音楽をマエストロは全身全霊で表そうとし、そんなマエストロに置いていかれるわけにはゆかないと、と必死だった。本番であんなに丹田に力を込めて弾いたのは初めてかもしれない。(だから翌日は抜け殻だったのか)
そして、曲が終わると……「ブラボー」こそなかったけれど、熱い拍手がもらえた、と思う。うん、何度も舞台に乗っていると、拍手の質で演奏の出来がわかるようになってくるもので。マエストロの満面の笑みも素敵だったvv

おまけ・打楽器センターの話。
幻想交響曲は、とにかく編成が大きい。ハープ2台にチューバ2本! 一番凄いのが打楽器群で、ティンパニ4台、大太鼓2台、小太鼓、シンバル各1,そして鐘。C音とG音が1つずつ。鐘はコンサートチャイムで代用されるのが一般的らしいが、今回は特別仕様の鐘が登場。なんと酸素ボンベを切ってC音とG音を作ったという土管のような金属製の筒。20年以上前に作られたというほとんど伝説化している鐘を、某大学オケからレンタルしてきたという。充分たたき込まれた元・酸素ボンベは、魔女の宴会にふさわしい響きを持っていて、本番では鳥肌モノ。
これだけの打楽器群をどうやって舞台に乗せたかというと、金管の後ろにもう一段列をつくり、横一列にずら−りと。その様は壮観。舞台中央の打楽器→打楽器センターの登場であります。
これはむしろ客席で鑑賞したかったかも。



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