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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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悪役カモーン

歌手陣が加わり、だんだんと完成形が見えてきた祝祭管の練習記です。

6月最初のマエストロ来団練習では1日目にブリュンヒルデ&ジークフリートが、そして2日目はアルベリヒ&ハーゲンが登場。残念ながら今回の練習は2日目しか出られなかったので、悪役二人組(組?)が語り合う2幕、中でも1場をみっちり弾くことになった。


もうね、アルベリヒ役とハーゲン役の方がそろって練習場に入って来られた瞬間、テンションが上がりましたとも。すでにお二人の後ろにアルベリヒとハーゲンがスタンドのように立っている雰囲気。そして(自分的に)テンションが高いまま2幕開始。

2幕1場というのは譜面だけ見ると、4拍子系と3拍子系が入り混じった非常に面倒くさいシンコペーションが続く。やっと終わったと思って譜めくりをすると、また少しだけ装いを新たにした別のシンコペーションが現れる。一人で練習していると、いったい何をやっているのか訳が解らなくなる。

これがいったいどんな場面かというと、月夜の対話シーンで、ジークフリートがギービヒ家を訪れた夜のこと、広間の柱にもたれかかってまどろむハーゲンの前に、亡霊と思しき父アルベリヒが現れる。息子に対して「必ずや指輪を取り返せ」と積年のミッションのダメ押しをし、息子ハーゲンは「んなもん、言われんでもわかっとる」と幾分鬱陶しそうに親をあしらう。……と、こうやって書くとコミカルな空気も生まれるし、じっさいセリフだけを読んでいると、親の復讐心を叩き込まれて育てられたハーゲンが気の毒にすら思えてくるのだが、恐らくこれは、ヴォータン―ジークフリートの関係とパラレルになっていて、親子関係の暗い方のバージョンになっている。ジークフリートは自分の人生を歩むため意気揚々と老神を倒し(しかも相手が自分の祖父とは知らずに)、ハーゲンは親から復讐心とミッションを受け継ぎ、その遂行に人生をかけている。

それで、弦楽器による鬱々としたシンコペーションが何をしているかというと、月下の幽玄とした雰囲気の中で交わされる、暗い怨念に満ちたやり取りのBGMなのだ。それが実感できると、俄然面白くなってくるし、さらに歌が入ると、随所に現れる松葉模様(つまりクレッシェンドとデクレッシェンド)や強弱記号の意味がよくわかる。譜面に書かれていからそうする、のではなく、歌を引き立たせるためにダイナミクスをコントロールする必要性が、身体でわかってくる。

このノリでさらに2場以降へ突入。2幕は全5場でドラマ的に展開が早いので、音楽も目まぐるしく変わり、途中、あちこちで耳慣れたモチーフが少しずつ形を変えて現れるのもわかる。大変だけど面白い。

そして来ましたよ、2幕3場の「ホイホー」!
ここ、弦楽器は全力で同じ音を刻んでいるのだが、今まではハーゲンの雄叫びを聞いているつもりでゴウゴウ弾いていたところを、この時はリアルに「ホイホー!」を聞きながらの刻みなので、楽しい楽しい。基本3拍子でところどころに4/4が挟まるのだけど、そこはハーゲンがセリフを喋っているところ。そんなのも聞き取りなから武装した男たちがギービヒ家に集まる様子を想像する。
そして、なんと結婚式だおめでたいじゃないかー! と盛り上がったところから修羅場へと急転直下する4場へ。そして恨み節炸裂と裏切りの5場。つくづく凄まじいドラマだ。

弾けていない箇所は多々あっても、物語の風景が見えてくるととてもやりやすいし、個人練習にも熱が入るというもの。いやもう、これから頑張ります。







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