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びおら弾きの微妙にズレた日々

本番は何回きてもこわい

7月17日、やっと……? いえ、ついに本番を迎える。
10時半からゲネプロなので、それに間に合うよう、荷物をまとめて子どもたちを実家へ預けてくる。親には「足を引っ張ってくるんじゃないよ」とクギを刺され。
会場についたのは10時頃。これなら音出ししてからゲネプロに入れる。いつも時間ギリギリに行動する私としては、かなり珍しい。それだけ緊張していたということだ。

ソリストは12時半に到着で。この時はコンチェルトのカデンツァを全部聞くことができた。普段の練習では、オケの伴奏がまったく入らないカデンツァは省略されるので、貴重な機会。
前橋氏のカデンツァはとても繊細だった。もともと大音量で鳴らす方ではなく、また、湿度と気温が高いこの季節は、バイオリンの鳴りが良くないという話を聞いたのだけど、控えめな音量の中に情念がたっぷり詰まっていたように感じた。音のすみずみにまで生命力が行き渡っているようなイメージ。

終わってみると、1時をまわっていた。ゲネプロはみっちり2時間半。正直言って、かなり疲れた。

本番は3時から。2時50分までには舞台の袖に集合。出番を待っていると、指揮者氏が現れて「ごんべがたねまくからすがほじくる」と呪文のようなものを早口で唱えてまわってゆく。
じつはこれ、「売られた花嫁」のテンポ。本番前にテンポを知らしめる指揮者も珍しい。裏を返せば、それほど危うい状態なのだ。
ブザーが鳴り、演奏者は舞台に出て席に着く。
続いて指揮者が現れ、拍手で迎えられる。指揮者はお辞儀をしてオケの方に向き直ったかと思うと、すっと指揮棒を上げた。そして予備拍を――。
おっと、クラリネットが飛び出した(涙)
一拍遅れてオケ全部が最初の音を出す。みんな動揺はしているはずだが、始まってしまったものは止められない。一番心配な2ndバイオリンのパートソロに突入する。頼むから乱れないでくれとの思いをよそに、誰かが一小節間違えて弾いてるのがわかる。(涙×2)
しかし、その後1stバイオリンが加わるあたりからそろい始め、どうにか事なきを得た。
これはマジで恐かった。

それに比べるとメンデルスゾーンのコンチェルトはずいぶん落ち着いていた。
とにかく、ソロの音を消さない、邪魔をしない。これが最優先課題。おかげでオーケストラは不完全燃焼気味だったが、客席の拍手は一番大きかった。

最後、これが本命という「田園」。
全体的にはそこそこの出来映えだったんだろうと思う。アンケートにも「眠くなるぐらい上手かった」(え?) とか「誠実な音がした」など、好意的な意見が多かった。
実はこの時、自分の体調は良くなかった。頭痛をこらえながらの本番なんて初めて。とにかく落ちないよう、また間違えても目立たないよう気を遣いまくり、残念ながらアンサンブルを楽しむ余裕はあまりなかった。
でも苦労して嵐の4楽章を乗り越え、ようやくたどりついた5楽章で、本物の祈りのメロディが降りてきたような気がした。
もともと5楽章は、嵐の後、再び顔を出した太陽と空(と神)に農民たちが感謝を捧げている場面だから、感謝と祈りのメロディがあるのは当然だが、奏者が感謝の気持ちを感じてそれが音に反映されているのではなく、勝手に音楽の中に立ち現れるという感じがして不思議だった。
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