「嘆きの歌」練習記第三回でございます。
(もちろん実際の練習はもっと回数を重ねていますが、管理人が出席してなおかつ記録を残す余力が残っていたのが三回目ということで)
今回は非常に若くて将来のあるトレーナーにお越しいただき、主に表現面で細かく見ていただいた。ビオラはたいてい背景の役割を担っているので、あまり突っ込まれることはなかったけれども、未だにカウントをしそこねて迷子になるので、まずは正しい道を覚えるのが最初の課題。
数えるくらい簡単じゃね? と思われる向きも多いだろうが、マーラーは小節数を数えるのが簡単そうに見えて落とし穴がたくさんある。いちばんはまりやすい罠が、四拍子と二拍子がいつのまにか入れ替わっているところ。
どういうことかというと、1小節に四分音符が4つある4/4拍子の場合、ある程度テンポがゆっくりなら指揮者は1小節を「1・2・3・4」と4つに分けて振る(4つ振り)。これがテンポアップして早くなると、2/2拍子に変化することがある。つまり1小節に二分音符が2つあると見なすわけだ。もちろん1小節の中に四分音符が4つ存在することに代わりはない。しかし指揮は「1・2・3・4」→「1(と)・2(と)」という具合に二つに分けて振ることになる(2つ振り)。もちろんこの逆パターンで、最初は2つ振りだったのが、テンポが落ちていつのまにか4つ振りになっている、ということもある。
そんなわけで、カウントを取る時によくある失敗は、2つ振りなのに4つ振りだと思って数えてしまったため、休む小節を長く取り過ぎたとか、逆に4つ振りを2つだと思って数えたために、まだ休みなのに入ってしまうとかやらかす。ひどい時にはいつの間にか1つ振りになっていて、あっという間に音楽が進んでいることもある。
例えばモーツァルトなどの古典派の音楽だと、楽章ごとに拍の取り方は決まっていて、4/4拍子で始まれば最後まで4/4だし、あえて途中で拍子を変える場合でも、コロコロ変わるわけではない。ところがマーラーになると、テンポの緩急が自由自在すぎてついてゆくのがもう大変。走ったり立ち止まったりよそ見をしたり、まるで気分は野生児を追いかける母。とにかく4つ振りと2つ振りの切り替えポイントをしっかり見極めないと、いつの間にか自分の位置を見失い、「ここはどこ?」と呆然と立ち尽くすことになる。
自分が間違った場所にいないと確信が持てれば、数少ない旋律を思い切り「目立って」弾けるし、sfやアクセントだって恐れることなくつけることができる。
さてさて、次の課題は大量の♭や♯に漏れなく対応すること、四拍子系のリズムと三拍子系のリズムの切り替えを素早く正確にすること、中でも特に1小節を3つに分けるタイプの3連符を正確なリズムで弾けるようにすること、それから高音域の制覇、かな。
こうして書き出してみると、自分がものすごいヘタレビオラ弾きに思えてきた。実際そうなんだけど。
ただし、音楽の理解を深めるという課題については、言われるまでもなく喜んで取り組むので無問題(やっと光が見えた)。
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