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びおら弾きの微妙にズレた日々

「銃夢 Last Order」

銃夢 Last Order 1 (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)
銃夢 Last Order 1 (ヤングジャンプ・コミックス・ウルトラ)木城 ゆきと

集英社 2001-07-19
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本屋にすごくそそられる手作りポップがありまして、それを信用して読んでみたら大当たり。
いやもう、絵が恐ろしく格好いいし、素敵なマッドサイエンティストは登場するしで、すっかりはまった。
サイボーグ少女によるアクションもので、ナノマシン技術の発達によって不老不死が実現したという設定のもと、太陽系全体に移住した人間達が連邦や王国を作って戦い合う世界の話。
この作品の中では、サイボーグというのは生身の脳と人工的な肉体をもつ人間のこと。だからバトルではほぼ無敵でも、精神的な働き、思考回路、感情の動きは普通の人間と同じ。むしろより深く考え、傷つき、悩む。
これは前作「銃夢」から数えると、1990年から描かれているコミックで、緻密な世界設定には惚れ惚れするしかない。その時代というのは、確かSF設定のアニメやコミックがまだまだ元気だった時代で、それらの影響を受けてるのかな?という設定もなくはないものの、やはり独自の世界が生まれているし、いいものはいい。

世界設定にひきずられることなく、というよりキャラクターを生かすために緻密な世界を作ったような印象を受けるし、主役も脇役もしっかりしたドラマを抱えていて非常に魅力的だ。特に、主人公のガリィを一度は死に追いやりながら、研究のためという理由で復活させてしまうノヴァ教授は、人間の常識を突き抜けている格好良さがある。己の信念のみをよりどころとする潔さがいい。「鋼」に登場するキンブリーと通じるところがあるかな。
以下、台詞を引用。



ロスコー君……宿命というものは確かにある
人は場所・時代・環境を選んで生まれる事はできない
ゆえに生まれた瞬間にそれぞれの人間の生きる条件は異なっている
これが宿命です
そして世界が残酷なのは当たり前の事です

生の始まりは化学反応にすぎず
魂は存在せず
精神は神経細胞の火花にすぎず
人間の存在はただの記憶情報の影にすぎず
神のいない無慈悲な世界でたった一人生きねばならぬとしても…なお…

なお我は意志の名の元に命ずる
「生きよ」と!!

君はまだ若い、世界のカルマの負荷に膝を屈するのもやむを得ぬかもしれない
悪を目指すも良し!
善を目指すも良し!
道を探るのもいいでしょう…

しかし生きていなければ
生きていなければどんな才能でも実を結ぶことは決してないのですよ!!

銃夢 Last Order 2巻より
ディスティ・ノヴァ教授が、世界に絶望した若い弟子に向けて放った言葉



これ、かなりの名言らしく、ググるとすぐに出てくる……。
人の言葉を借りてばかりでなく、自分の作った世界とキャラクターで、こういうことを語らにゃいかんな、と作者に対するリスペクトと、自戒を込めて引用。
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