ようやく核心に迫ってきて、伏線がするすると回収されてゆく。プルートゥの正体については、大筋は原作と変わらないけれども、浦沢流のアレンジが楽しめる。
ただし、ゲジヒトの扱いについては、「楽しめる」という範囲を越えてもっと深刻なものへと変化してしまったが……。
ロボットの扱いについて、自分の中で感じる違和感が、巻数が進むにつれて次第に膨らんでくる。この数年はすっかり攻殻世界のAI観に慣れてしまって、それで手塚治虫時代のロボット観になじめなくなっているのかな。
何に一番違和感を覚えたかって、人間に、しかも理想としての人間に限りなく近づこうとするロボットのありようだった。
例えばRDで登場するホロン――あくまでも道具として作られ、人間の好みに合わせた言動をとるようプログラムされたAIを持つアンドロイドを見てしまうと、人間とアンドロイドは見た目はそっくりでも全然別種の存在なのだと思い知らされるし、それでいいのだと思う。
だから、PLUTOの世界で人間と同じように「人権」を持つ存在として描かれる人間くさいロボットを見ると、うーん、なんだかなぁと落ち着かなくなる。PLUTO世界の社会全体にただよう「ロボットも人間と同じように庇護し、対等に接しなくてはいけない」という空気や、逆にロボットに対する激しい憎悪に違和感を覚えまくったり。
なんていうのかな、なぜロボットに人間への憧れを抱かせたり人間の理想形を押し付けたりするかなと疑問を持ってしまうのだ。AIが高度な思考能力を持てば持つほど、そういうのって否定するんじゃないだろうか。
イノセンスのラストで素子が言ってた「人形だって人間になりたいとは思わなかった」のセリフを再び思い出すのだった。
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