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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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千年女優ふたたび

先日、娘といっしょにアニメ映画の「千年女優」を見た。監督は「パプリカ」や「パーフェクトブルー」を生み出し、一昨年8月に逝去した今敏。音楽を担当したのは監督と親しかった平沢進。

娘が興味を持った理由は平沢氏にある。彼の音楽にどっぷりはまり、彼の制作するアルバムにはそれぞれ物語があることを知っている娘は、じゃあ平沢氏が映画の音楽を担当したらどうなるの? という好奇心に動かされたらしい。


結果からいうと、思い切り楽しんだのはハハの方で、肝心のお嬢さんはあまりにぶっとんだ映像世界とストーリー進行に「???」だったようだ。
この物語は、映像制作会社の社長が、ある伝説的大物女優のインタビューをするという設定で始まる。大昔から熱烈なファンであった社長が、とある古びた鍵を彼女に渡した瞬間から、ひとりの男性をひたすら恋い慕い追い続けた女の半生記となる。
女学生だったころ、彼女は自宅の蔵に思想犯として追われる青年を匿った。絵描きでもあった彼から彼女は鍵を手渡される。「いちばん大切なものを開ける鍵だ」と。翌日、もう彼の姿はなかった。それがすべての始まりだった。彼女は女優となって彼の影をどこまでも追い続ける。
女優の過去語りと彼女が過去に主演した映画の内容とがめまぐるしく交錯しつつ、さらには取材しているはずの社長までもが彼女と一緒に映画の世界で活躍するという凝った作り。
現実と虚構が入り混じる作品世界は今監督が得意とする表現方法だが、そこに、今監督と親しく、また独自の作品世界をもつ平沢氏の音楽が絡むとどうなるのだろうか。

以前見たときは最後のオチに「結局それ?」という肩透かしをくらった思いが強くて、芸術的といってもいいくらいの精緻な作りを鑑賞する余裕もなかったわけだが、今回は十分楽しむことができて、それはもう話の筋がわかっていることから来る余裕、そして平沢氏の音楽が象徴するものがある程度理解できていたらかだろう。
たとえば、ヒロインが好きだという蓮の花。それは「VISUAL STUDIO LOTUS」という映像作品会社の名に使われており、また主題歌のタイトルは「ロタティオン[LOTUS-2]」。ロータス=蓮の花は仏教でいう輪廻転生を連想させる。実際、ヒロインは千年もの昔に呪いをかけられ、何度生まれ変わっても叶わぬ恋に身を焦がすだろうと予言されている。

千年女優のサントラは一応出ているが、実際の音源はその2年前に発売された「賢者のプロペラ」というアルバムからほとんどが採られている。
たとえば、ヒロインが一生追い求め続ける「鍵の君」が登場するときの音楽は「賢者のプロペラ2」という曲のアレンジ。鍵の君と賢者のイメージが重なる。主題歌の「ロタティオン2」はすでにこの「賢者のプロペラ」に登場していて千年の時を超えて咲くと歌われているし、ほかにもあやしい錬金術世界を彷彿とさせる楽曲と、映像の錬金術ともいえる千年女優の世界は見事にマッチして、ひとつの美しく不可思議な世界をこの世界に現出させているのだった。
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