松本大洋の原作コミックをアニメ化したもの。
その映像の持つ情報量は容量オーバー十秒前。押井ワールドと肩を並べられるんじゃないかと思う。ただ、こちらはエスニックというよりはレトロな色合いが強く、実際に手書き部分の割合が高い。
ひと言で印象を語るなら、この話の主役は「宝町3丁目」という街そのもの。そこだけが時代の流れから取り残されたような、猥雑で活気のあふれる不思議な街。具体的には昭和40年代の下町、かな。
その街の支配権をめぐって、「ネコ」と呼ばれる浮浪児、土地のヤクザ、地上げ屋が争いを見せる。誰もが街の変化は止められないと感じつつ。
人間サイドでは、シロとクロという少年が主人公。ネコの仲間。幼い頃から親はなく、ずっと二人で暮らしているらしい。シロ11歳、クロはシロより3歳ぐらい上なのかな? 少々頭の弱いシロを守りながらクロは生きてきた。ケンカに強いのはもちろん、その言動は、時に悪魔的になる。いっぽうシロは、まるで幼子そのもので天真爛漫。
クロはシロを守っているようで、実はシロに守られている。
シロは心のネジが足りなくて、クロも足りない、シロはクロの足りないネジを全部持ってる。
これが核心なんでしょう。
シロと別れたクロがどんどん闇の力に引きずり込まれて壊れていくところ、凄まじかった。
最後にシロの存在を感じて復活するところはお約束だけど、暴力と絶望を通じて人間心理の深いところまで下りていくこの物語、すごいな。
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