イシュヴァールの真実ですか?
どこかで見たようなエピソードが顔を出している気がするかも。
それは、自分が太平洋戦争の資料をたっぷり見てきたことと関係があるのかもしれない。
ほぼ全部が内戦の記録だった。
国民を守るはずの軍人が、民族が違うとはいえ、同国民を殺戮してゆく状況が隠すところなく描かれていた。
これは、小学生が読んだらそりゃショックだろう。体が引きちぎれたり、焼け焦げになった死体がゴロゴロと、何気ない前景として描かれているんだから。
精神的に耐えられなくなって戦線を離脱する者もいれば、クールに仕事をまっとうする者もいる。ただ、あの状況で後者の立場をとれるならば、それはそれでかなり問題がある精神構造だとも思うけど。
そして、ロイ・マスタングとリザ・ホークアイの、因縁というか、ただならぬ関係が明かされ、ロイがなぜ大統領の座を狙うか、その動機がはっきりと明かされた。
結局は、理想と信念を持つ者が最もタフに生きられるということか。
作者はこの巻を書くにあたって、戦争経験者の話を直に聞いたという。たぶん、第二次世界大戦だけでなく、ベトナム戦争も含む資料も嫌と言うほど読んだだろう。
それが効を奏してあれだけ迫力ある画面が描けたのだろうが、逆に、いかにも「資料からひっぱってきた」のが見え見えなエピソードがあって、ちょっと鼻についた。突撃一辺倒の大将しかり、(前巻の話だけども)戦争の精神的な後遺症がもとで離婚してしまった医師しかり。捕虜を使った人体実験もド●ツや●本がやったあれこれを思い出す。
いくら過去の話とはいえ、なんか、この巻だけ本筋から浮いてる気がするなあ。でも、作者はあくまでも子どもたちに戦争の残酷さ、虚しさを伝えたかったんだろう。
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