出歩くのに調度良い暖かさになったので、職場の人と一緒に小牧線に乗ってのんびりと、犬山まで小旅行。犬山といえば色々観光地はあるけれども、今回のメインは渋めに犬山城。そのついでに城下町っぼい作りの商店街をふらふら歩いてきた。
日本最古の木造天守閣を持ち、国宝に指定されている犬山城の内部は、黒光りする床や柱に年月の重みがずっしり。噂通り階段は恐ろしく急で、手すりがなければ昇り降りできないほど。(しかしこれで恐れていてはいけないらしい。通りすがりのオジサンによれば彦根城はもっと急で狭い階段であるため、リタイア者続出だとか)さらに天守閣はスゴイ。窓から回廊に出てぐるりと一周することができるのだが、欄干は腰の高さより低い。床板のすき間から下の景色がちらちら見える。スリルを感じながら見渡せば得も言われぬ絶景が広がる。なにしろ木曽川のほとりに建っている。山、川、城下町が一気に手に取れるような近さで見晴らすことができる。強欲で力のある人間なら目に映るすべてを支配したくなるだろうなぁ。
※でも高いところがダメなひとは中で歴代城主のお顔を拝んでいましょう。
実はお城の隣にもう一つ、国宝がひっそりと佇んでいる。それが「有楽苑」。「へうげもの」のファンならピンと来るだろうが、「有楽」とは織田信長の弟のひとりである織田長益、のちの有楽斎如庵のことで、秀吉の御伽衆を務め、もちろん古田織部とも親交があった。wikiには「千利休に茶道を学び、利休十哲の一人にも数えられる。後には自ら茶道有楽流を創始した。また、京都建仁寺の正伝院を再興し、ここに立てた茶室如庵は現在、国宝に指定されている。」とあり、その「茶室如庵」が移築保存されているのが、ここ「有楽苑」なわけだ。
←如庵
わびさびを演出しているようでいて、さり気なく意匠を凝らした茶室はもちろんありがたく拝観してきたが、何より庭の素晴らしさに感じ入った。桜には遅かったものの、新緑が非常に美しく映える。もっとも、優れた庭だからどの季節でも美しく見えるように設計されているに違いない。こんな庭の中、粋を極めた茶室でお茶を頂いたら、そりゃ俗世間のことは綺麗さっぱり忘れますとも。
さて、たっぷり目の保養をしたあとは下町歩き。ランチはすでにお城の前に済ませていたので、デザートめざして歩く。
さすが城下町、古くて立派な家が多く残っているし、車山蔵(犬山祭に使われる車山の格納庫)も目につく。資料館も見てきたが、手の込んだからくり、隣町と権勢を競うかのような豪勢な山車、お囃子隊の豪華な衣装などを見るにつけ、犬山の祭りはものすごくお金がかかることがわかる。こういう祭りができるということは、それだけ財力のある商人が多かったということだ。思えば木曽川のほとりにある犬山は川湊として交易上、大変重要な町だったわけで、人も物も自然と集まる。経済が発達すれば文化も栄える。同じ名古屋の郊外でありながら、1300年の歴史を持つ陶都など足元にも及ばないくらい文化レベルの高い町だということを思い知ったのだった。なんというか、経済力だけの差じゃないよね、という感じで完敗。(別に勝負しに来たわけじゃないですが)
しかしこのご時世であれだけの規模の祭りを維持するって、金銭的にも人材的にもなかなか厳しいよねえ。犬山だけの話じゃないけど……。
あ、それからもう一つ。クーポン付き乗車券は確かにオトクだけども、クーポン対象外の店は目に入らなくなりがちなので注意。自戒を込めて。
PR
COMMENT