先日、いつもの友人たちと名古屋港へ遊びに行った。何をしたかというと、昨今流行りのリアル謎解きゲーム。基本的には小学生くらいのお子様対象のゲームだけども、自分がもともと謎解きゲームは好きだし、仕事上の勉強もあったので、友人を誘ってみたら、快く巻き込まれてくれた。
ゲームの会場は、名古屋港の中でも商業施設が立ち並ぶ金城ふ頭。一昔前までは、ポートメッセなごや(名古屋市国際展示場)しかなかったのに、ここ数年のうちに巨大家具店、リニア鉄道館、レゴランド&メイカーズピアができた。さらに昨秋「シーライフ名古屋」というミニ水族館ができて、一大観光地。ただ、新規に立ち表れた観光施設なので、その宣伝をかねての謎解きゲーム(参加費無料)だと思われる。
実際、ゲームを勧めてゆくと、上記の施設内、あるいはすぐそばに謎解きポイントが設置されていて、一種の観光案内になっている。これはこれで賢いやりかただと感心すると同時に、ほどよく難しくて頭の体操になり、歩く距離も稼げるゲームにすっかり感心した。謎解きそのものにはあまり関心のない友人たちも、けっこう面白がってくれた。お子様だけに楽しませるのはもったいない。
そしてここからが本題。
謎をほとんど解きつくし、最後の目的地へと向かう道は、それまでの華やかな商業施設がふっつりと途絶え、港の景色が一気に開けた。工場やコンビナートが立ち並び、もくもくと煙を吐いている風景が遠くに見える。すると、友人のひとりが思いもかけないことを言った。「こんな景色初めてみるわ。来てよかった」と。
正直、驚いた。海沿いとはいえ、風光明媚な場所でもないし、港に立ち並ぶ工場も、迫力はあるにしてもそんなに珍しい景色ではないと思っていたからだ。でも、山間部出身のその人は、あまり海に縁がなく、ましてや観光地でもない港の工場の様子は、70年を超える長い人生の中でも見たことがなかったのだ。さらに、新しい風景との出会いを喜べるセンスがある。
生活環境にもよるだろうが、決まった生活範囲から抜け出せなかったり、抜け出そうという気持ちがないまま、少ない風景しか知らずに人生を過ごす人がいる、ということをそれまで忘れていた。多くの風景を知っている方が得だとか有利だとか言うつもりはなく、ただ、見知らぬ風景に出会って感嘆するその心持ちがとても素敵だなと感じたのだった。
次はどんな景色を見に行こうか。できればナビゲートする自分自身もハッとするような面白い景色を見つけたいし、その風景をいっしょに喜んで見てくれる友人たちがいることが何よりの幸い。
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