明日・明後日はセンター試験だそうで、娘の高校は試験会場になるため、今日は半ドンで下校だった。(半ドンの意味が分からない人は……このブログの読者にはいませんね、きっと)
二年後には当事者になるであろう娘を連れて、午後から名古屋市博物館へ。ヴェネツィア展を見に行った。
いつも思うんだけど、名古屋の博物館て、まるでマッチ箱を積み上げたようなシンプルな外観の割に「あなた、愛知県庁のご兄弟ですか」と問いかけたくなるような独特の重々しさがあって、その、官公庁ならまだしも、文化施設としてはどうよ?って思うんだよね。
センスはなくとも、いろいろと思い出深い場所ではあるから、建て替えをしたりなんかしてがらりと変わっちゃうと寂しいかもしれないけど。
ヴェネツィア展はたいへん美味しかった。当時の様子をあらわす風俗画や肖像画、職人の技術力を結集させた見事な細工物などを堪能できた。自分的には、ガレー船の模型だとか、1688念に制作されたという直径120センチぐらいの大地球儀に張り付き状態。
それに、少し前に塩野七生の「海の都の物語」を読んでいたので、展示されている資料がどれもリアリティたっぷりで、それを実際に身につけて暮らす人々、あるいは作る人々の様子が、目に浮かぶ。
いやぁ、美しいものに囲まれて暮らすっていいよねぇ。
ヴェネツィアの貴族については、あたかも彼らが財力にモノを言わせて贅沢の限りを尽くし、その結果として国家が没落したようなイメージがあるが、塩野氏の説では、ヴェネツィアが滅びた真の原因は、陸地に領土を増やしすぎたため、海洋国家としてのプライドをなくしたところにあるというし、むしろ貴族や市民が贅沢をしたおかげで洗練された文化や芸術が育ち、それが世界へと広まった。その影響を思えば、貴族には贅沢をしてくれてありがとうとお礼を言わなくちゃいけないほどだ。
「ノブレス・オブリージュ」という言葉があるけど、富を持つものにはそれなりの義務があって、それは教会への寄付や慈善事業を指すばかりでなく、富と地位がある者にしかできないことをする、ていうのも含まれていて、その中には芸術を育てることも含まれているはずなのだ。
あとはどうでもいいことなんだけど、展示されていた絵の中には、必ずといっていいぐらい片隅にイヌがいた。ネコはいなかった。そしてヴェネツィアの守護獣である有翼のライオンが、どうみても有翼のワンコに見えて困った。うちのイヌに翼をつけたらいい線いくんではないかと。
参照はこちら→
★(ヴェネツィア展の公式サイト)
中世の夢を堪能したあとは、現代アートの空気を求めて博物館近くのギャラリーへ。お目当ては若手作家の作品が3点で10000円という「アート福袋」だった。が、福袋の対象となる商品は、うちの家に飾るにはちょっと……という作品がほとんどだったので、少し迷ったが遠慮させてもらった。
そのかわり1Fのギャラリーで展示中の作品はいい感じだった。自分では買わないけれど、会社の受付に飾ってあったりしたらいいなぁと思う絵。2Fのギャラリーでは和み系のイラストが展示中。これはポストカードで欲しいな、気楽に部屋の中に飾っておきたい、という感じのもの。そうしたら、作者の方がその場にいらして、ポストカードと特製チロル(包み紙がその作家さんのデザイン!)をお土産に持たせてくれた。まだ若いお兄さんだった。絵やイラストの世界も大変だと思うけど、頑張って書き続けてほしいな。
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