岡崎美術博物館で開催中の企画展「ロシアの夢」を見てきた。
今日はイベントのない日だったようで、人が少なく、じっくり見ることができた。
ロシア革命直後からスターリンによる静粛が始まるまでの間に、ロシア(=ソビエト連邦)で花開いた芸術活動の紹介。
ヨーロッパから伝わってきたアヴァンギャルドの影響が大きい初期から、国のプロパガンダとして利用された後期まで、政治の移り変わりに合わせて年代順に紹介されている。
演劇「太陽の征服」やサイレント映画「戦艦ポチョムキン」なども映像で紹介されていて、なかなか収穫は大きかった。
これほど政治と密着した芸術も珍しいと思う。普通、芸術は既存の体制に反発する形で発展するものであり、ロシアにおける前衛芸術も始まりはそうだった。しかし、帝政ロシアにとどめを刺す革命が起き、新しい政治体制が生まれると、その政治体制(共産主義)にぴったり寄り添うにして発展を遂げ、体制に潰されて終焉を迎えるのだ。
芸術性を云々する以前に、あまりにも芸術を政治的宣伝に役立てようとする意図が透けて見えるので、近代ヨーロッパ芸術を見慣れた目には、かなり奇異に、そして興味深く映ったのだった。
だってスローガンがプリントされたコーヒーカップってどうよ? どんなに洒落たポスターでも内容が「投票に行きましょう」だったら? スカーフの柄が戦闘機とか、ツルハシ&鎌のアレンジなんていうのも、ジョークで作られてるのでない限り、ちょっと……てゆうか、かなりイヤ。
ロシアのアヴァンギャルドの敗因は、スターリンに潰されたというよりも、芸術で民衆を導くことができると信じたことにあるのではないかな。おまけに民衆に対して明らかに上から目線だ。芸術活動まで赤に染めちゃだめだよ。
そうそう、おみやげでこんな雑誌を買ってきた。
アヴァンガルドvol4 現代ロシアンアートの50年
詳しくはこちら→
★おや? 今調べたら熱帯雨林で扱っていない希少本。買って正解だったかな。
PR
COMMENT