あいちトリエンナーレ2016 愛知県美術館10F編です。
今回は娘のピアノ発表会のついでに立ち寄る形で愛知県美術館へ。時間的にタイトだったので10階及び11階の展示のみ見てきた。8階はまた今度。

刘 韡(リウ・ウェイ)による立体作品
ネットに上がっている感想やすでに見に行った娘の話では、前回の2013年よりはあっさりしている印象らしい。なので、あまり期待せずに行ったらとんでもない。SF作家のテッド・チャンとのコラボ作品があるではないか。 映像+スクリプトの作品で、ロマンティックかつひねりのあるスクリプトだなあと思って、後からキャプションを見たらテッド・チャンだった。なるほど。
さらに、
『野生のオーケストラが聴こえる』を読み終えたばかりで、すっかりサウンドスケープにはまった脳みそに、〈The Great Circle〉が殴り込みをかけてくる! 42分間にわたり、サウンドスケープだけで旅を再現する。「イギリス北西部のシェフィールドから愛知県の鳳来寺山に至るまで、大圏コース上の9地点で記録された迫力に満ちたサウンドを、20個のスピーカーを通じてダイナミックに再現します。42分間の音の旅をお楽しみ下さい」最後をしめくくる鳳来寺山のヒグラシの声が物寂しいの寂しくないのって! 夏が終わります。
あるいは、古代エジプトの遺物をネタにしたなんちゃってキャプション、娘の部屋を彷彿とさせる小物に満ちた部屋と部屋をめぐる一本の毛糸。残念な姿で転がる粘土の彫像たち。よい意味でユルい作品が多い。

三田村 光土里〈アート&ブレックファスト〉

大巻 伸嗣作品
全体的に、1作家につき1部屋あるいは1区画という展示の仕方なので、点数はあまり多くないが、ある区画に入るとどっぷりその作家の世界に浸れる。作品を見るというよりは、ひとつの世界から他の違う世界へ移動してゆくようで、あたかも町から町へと旅して回るキャラバン隊のイメージがわく。今回のトリエンナーレのサブタイトルは「虹のキャラバンサライ」だ。
前回や前々回のように社会的テーマをあからさまに問いかける作品は少ないかもしれない。でも、メインとなる愛知県美術館の展示方法を見ても、また、展示会場そのものが広く散らばり、全会場制覇するにはある種の「旅」をしなくてはいけないという構成にしても、世界には地域ごとにさまざまな文化があり、ものの見方があり、真逆の価値観があり……という、異なる背景を抱える人間同士の共存に必要な想像力と感性を養うきっかけは感じられた。
田島 秀彦〈6つの余地と交換可能な風景〉
11階展望回廊にて
あらためてその視点で考えると、視覚障害者の触覚を、粘土を使って目に見える形に置き換えるという松原慈の試みはとても興味深いし、暗い室内でサウンドスケープのみを聞かせて世界旅行を物語るというクリス・ワトソンの手法もまた五感の入れ替えがおきて大層面白い。
たまたま祝日に訪れたため、小さい子連れのお客さんが多かったが、子どもたちは何を感じて帰ったのだろう。ヘンな作品ほど印象に残るに違いない。
マーク・マンダース〈サイレント・スタジオ〉より
これはルドン絵画の三次元化かも、と思った。
ほう? と感じた方は「ルドン 堕天使」で検索を。
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