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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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期待が大きいほどショボン率が上がるのか?(「美術と魔術」展)

GWのいいところは、「亭主元気で留守がいい」という言葉そのままに、ダンナが仕事でしかも子どもたちは休み、という日が多いこと。そういう日は親子で趣味に突っ走る。

それでGW前半は、県美術館&大須へGO。

ダンナつきで大須へ行くと、古着屋を巡って甘いもの食べて終わりになるけれど、母子で行くとアニメ関連の店に入り浸れるのがよい。生まれて始めて大須のま○だらけに足を踏み入れた。予想通り違和感なし。orz。
念のため付け足しておくと、娘は攻殻機動隊シリーズ(含イノセンス)にどっぷりと首までつかりながら、アニオタではないと言いはり、そして大須に行ったのは、球体関節人形を作る材料を集めるためです。


県美では、「美術と魔術」展を見る。なかなか興味をそそられる企画だったので、楽しみにしていたのだが、これがなかなか微妙な感触で……。

企画と演出はとてもいい感じだ。美術と魔術は根っこでつながっているという着眼点には共感するし、また、展示作品ごとに丁寧な解説が付いている点はとても評価できる。

でもなんだろう、展示作品を見ていてもイマイチ面白くないのだ。わくわくしてこない。普通、展覧会で美術作品を見ていると、作品そのものが放つオーラみたいなものに圧倒されるのだけど、今回は、あたかも企画の趣旨に合う部分だけ切り出されて陳列ケースに収められたために、作品が本来持っているオーラまで封じ込められてしまったという感じがした。

例えば、神社によくいる狛犬。その場所の神聖さを表すと同時に魔除けともなっている。それらは土地の神社にあってはじめて力を発揮するのであって、美術館のショーケースの中に置かれたら、ただの素朴な彫刻作品にしか見えない。オブジェとして鑑賞するなら意味はあるが、自然への畏怖と親しみをも込みで伝えるのは難しい。

本来、美術作品――特に過去の形式からの脱却を試みた近現代の作品は、固定された、あるいは類型化された見方を拒む。それは、既存の価値観を破り、鑑賞者に新しい視点を提供するために作られたものだから。
そういった作品を「こういう風に見て下さい」と、丁寧な解説つきで展示してしまったら、その時点で作品の魔力は消えてしまわないだろうか。

そして、陳列されていた絵画は、幻想的なものが多かったが、魔術的な絵は必ずしも幻想的とは限らず、また幻想的な絵は魔術的なものと結びつく、という見方は浅い気がする。人間の無意識の領域にあるカオスを魔術的と呼ぶなら、美術作品はすべて魔術的要素を持っているわけだし、幻想的といっても、実は非常に具体的な現実世界の何かを表している絵もあるわけだし。
「魔術的」とは何か、という定義がはっきりわからないまま、雰囲気だけそれっぽい絵ばかり眺めてもなぁ、と感じたのだった。

と、ちょっと偉そうに語るだけで終わるのは気が引けるので、まだ続く。


ひと通り見終わったあと、この展覧会はむしろ解説を読むほうが面白いのではないかと思って図録を買ってみた。家でゆっくり読んでみたらなるほど、第一印象よりは悪い展示ではなかったのかもしれないと思い始めた。
絵画や写真には、トリックを利用することで、見えないものや見えるべきでないものを可視化し、現実に見えるものの裏には何かあるのではないかと疑いを持たせる力があるということ(それが「魔術的」)、ある作品を、本来はセットとなるべき背景から引き剥がしてコレクションすることの功罪はすでに織り込み済みである事、また、美術館で鑑賞されることによって、作品と鑑賞者の間に「思い入れ」という絆が生まれ、作品は新たな存在意義を持つようになること、などが述べられていた。

うん、たしかにポロック展ではそういうことが起きたと思う。目の前の作品が表象するものと、自分のインナーワールドとを結びつけて楽しむことはできた。作品に添えられたキャプチャーもその手助けになっていた。

今回の展覧会で、何かこう、ぐっと来るものが感じられなかったのは、意外に些細ことが原因だったのかもしれないな。例えば、常にあるカップルが視線に入っていて、女の子が咳をするたび、男の子のほうが(これはチャンスとばかりに?)彼女の背中を何度もさすっていたのが気になって仕方なかったとか、どうしたわけかいつも同じ人と同じキャプションを見ることになって、微妙な譲り合いが発生してなかなか集中できなかったとか。


でもなぁ。やっぱりテーマそのものが広く浅いことには違いないな。美術入門者にはちょうどいいかもしれないけど。


(結局辛口のまま……ごめんなさい)
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