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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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クリムトで美術充



愛知県美術館にて21日から始まったクリムト展。
クリムトに代表されるヨーロッパ世紀末美術は大好物なので、公開二日目にさっそく出かけてきた。

最近の愛知県美術館の展示は、いろいろ仕掛けや工夫があって、ただ作品を年代順に並べるだけの展覧会とは違う。
今回も、実物大の複製作品や、作品が実際に取り付けられた部屋を再現するなど、スケールの大きさを体感できる展示が「一味違うな」と思わせてくれた。

県美術館のブログによると「クリムト展」は難しいそうだ。詳しい理由は書かれていなかったが、今回の展覧会に足を運んでおおよその見当が付いた。
クリムトは数多くの油彩画を残しているが、中でも特に重要な作品が巨大な壁画であったり(ベートーベン・フリーズやストックレー・フリーズ)、あるいは焼失していたりして(ウィーン大学大講堂の天井画三部作)、実物を直接展示するのが難しいからだ。そういった作品は複製パネルや写真に頼らざるをえない。
特に今年は美術館開館20周年にあたるだけでなく、クリムト生誕150周年にあたるため、世界各地で同様の催しが行われるので、有名作品は美術館同士で取り合いになる。
なので、今回クリムトの作品はデッサンが30点、油彩画が10点でそのうちの半数がごく初期の作品。中~後期にかけての作品は「アッター湖畔」、日本初公開となる「赤子(揺りかご)」、豊田市美術館所蔵の「オイゲニア・プリマフェージの肖像」、そして県美術館所蔵作品であり、展覧会の一番の目玉となる「黄金の騎士」。
クリムト本人の作品数は多いとは言えないが、クリムトと関係の深い「分離派」の作家・作品を厚く紹介しながら、「黄金の騎士」に至るまでの物語とその後の変化を追う形で構成されている。
芸術家は決して一人で成熟するのではなく、時代やまわりの人物との関わりによって成長もすれば変化も遂げる。当時の芸術の流れの中で、クリムトがどんな位置にいたのか、俯瞰的に見ることができたのは収穫だった。
分離派が刊行した「ヴェル・サクルム」誌(表紙のデザインは言うに及ばず、文章や図版の配置が素晴らしい)、ウィーン工房が制作したジュエリー、マッキントッシュの手による家具類など、「この企画展でこの作品に出会えるとは!」的な美味しい展示品もたくさん。

また、複製ではあったが実物大の壁画展示には圧倒された。「哲学」「医学」「法学」の三部作はもちろん、再現されたストックレー邸の部屋の壁をぐるりと取り囲む「ストックレー・フリーズ」が圧巻。複製と知りながらも、金色に輝く生命樹に圧倒される。マーラーの音楽を視覚化したら確実にクリムトになるだろう。もっとも、これは同じ時代、同じ土地に生きていた人間同士だから当たり前で、「ベートーヴェン・フリーズ」を見ればわかるように、ベートーヴェンとクリムトの相性もとても良いのが面白い。「黄金の騎士」のBGMを選ぶとしたら、マーラーの1番よりはベトベンの3番だよね?

ちなみにベートーヴェン・フリーズを本当にベトベンのCDのジャケットに起用してしまったのがこれ→アバドによるベートーヴェン全集 (アマゾンのサイトにとびます)


あとはエミリー・フレーゲとの関係にももう少し踏み込んでもらえると言うことなかったのだけどなぁ。と、これは蛇足なつぶやき。
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