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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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魚の群れに遭遇したような

「本日はお日柄もよく」ということで、GW明けの平日を選んで、豊田市美術館へ展覧会を見に行ってきた。
(クリックすると拡大します)

まずは軽く1階の「デトロイト美術館展」から。
印象派から近現代にかけての名品を集めた絵画展で、モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、マティス、ピカソなど、そうそうたる画家の作品が並ぶ。4章立ての構成で、1章 印象派、2章 ポスト印象派 3章 20世紀のドイツ絵画 4章 20世紀のフランス絵画 という具合に、ざっくりした分け方でありながら、19~20世紀前半の絵画の流れがわかりやすくまとめられていた。どれも素晴らしい作品なので、じっくり見ていると時間がいくらあっても足りない。そんな鑑賞者のために、この展覧会では平日に限り、作品の撮影が許可されている。もちろん、禁止事項はいくつかあるので、それらを守った上での撮影だが、自分のスマホに名品が収まっているかと思うと(もちろん壁紙にもできる!)贅沢な気分になれる。
自分的に最大の収穫は、ピカソ。キュビズムを駆使した「座る女性」と古典回帰時代の「肘掛け椅子の女性」が並んで展示されているさまは圧巻だった。両方とも、イスに腰掛ける女性をモデルにしているが、まるでタッチが違うのにやはり同じピカソの作品なのだ。
また、「踊り子」で有名なドガの作品を見ていると、モデルの細部はきっちり描いているのに、背景が適当な色で塗りつぶされていることが多くて「実はこの画家って飽き性?」疑惑が浮かんできたり。
これらの作品は今でこそ、古典のように扱われているのだが、リアルタイムではどれも絵画の常識を打ち破るような前のめりの作品だったということが、解説を読むとよくわかる。

次は吹き抜けの階段を上がり、この美術館の本丸とも言える2階へ。そこでは「山本富章|斑粒・ドット・拍動」が展示中だった。こちらは現代の日本で活動する作家だ。

(こちらもクリックで拡大します)

作品の仕込みはすでに階段を登る時から始まっている。でも上るときにはまだ気づかない。最初の展示室で、まず巨大な舞台装置のような大胆で色鮮やかな作品を見た後、さらに階段を上がって3階へ進んでから、やっと壮大な仕掛けが見えてくる。1階と2階をつなぐ大きな階段を見下ろせる場所があるのだが、そこへ来て思わず足が止まった。もともと、階段横の壁には、ジョゼフ・コスコースという作家による作品「分類学#3」という作品が常設されているのだが、今はそれと向かい合う壁に山本富章による「bugs」が展示中で、両者はまるで鏡合わせのように見え、見事な対比を作り出しているのだ。
「bugs」は、分解した洗濯バサミが素材に使われていて、それらはすべて白地に黒のドット、あるいは黒字に白のドットが描かれている。留め金をはずされてバラバラになった洗濯バサミの部品が色付けされて壁面に配置された様子は、どことなく水槽のメダカを思い起こさせる。さらに2階アトリウムのガラス壁には、もっと大量の「bugs」が整然と並ぶ。その数、およそ14000個というから、物量作戦だ。タイトルこそbugs=虫だが、なぜか自分には大量の魚に見えた。まるでレオ・レオニの『スイミー』であり、無機物から生まれた有機的な集合体の迫力の前に、ぼうぜんと立ち尽くすしかなかった。

続いて、常設展「絵画凸凹 Painting, not flat.」のコーナーへ。これは絵画と立体表現の境目を探るような面白い展示で、刺激的というか感覚をかき乱される感じが心地よく、じつに面白かった。特に櫃田伸也氏の作品の前に立った時など、何がどう作用したのかわからないが、感性のツボにスイッチが入り、ぞくぞくと鳥肌が立つ思いだった。これだから現代美術は面白い。

もちろん、印象派もキュビズムも、作品が製作された当時はキレッキレの現代美術だったわけで。そうやって考えながらあらためて、セザンヌやモネやマチス、シャガールなどを振り返ってみると、なかなか味わい深い。
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