やはり数日前のことになるが、シベリウスの伝記を読んだ。
図書館の児童書コーナーで見つけたこれ→
★ で、中身はかなり濃い。
著者は音大を卒業して現役で音楽活動に関わっている方で、伝記を書くにあたり、実際にフィンランドまで出かけ、シベリウスゆかりの地を訪ね歩いたそうなので、記述は具体的でしっかりしている。
シベリウスの名前も曲もある程度知ってはいたが、人間像はほとんど知らなかったので、目からウロコのことばかり。
実は、シベリウスは相当な見栄っ張りの超浪費家で、若いころは高級クラブに入り浸り、酒・タバコをガンガンやりながら芸術論議に明け暮れたらしい。しばらくそういう生活が続いたかと思うと、これではいけないと思い直し、田舎にこもって作曲をする。国から芸術家のための年金を支給されているにもかかわらず、60歳をすぎるまで借金生活。なんと豪胆な。
そんな彼が身を持ち崩さず、いくつもの素晴らしい作品を書いたのはひとえに奥さんの支えがあってこそ、またフィンランドの荒々しくも雄大な自然のおかげだということもよくわかる。
彼が晩年腰を落ち着けた家には「アイノラ荘」という名がついているが、これは奥さんの名前「アイノ」から来ている。
また、かなりの神経質というか、憂鬱症的な性格をしていたので、苦悩の深さもベートーベンに勝るとも劣らずで、実にスケールの大きな作曲家なんだと改めて感じ入った。
今年の秋にはこういう人の書いた交響曲を演奏するのね。伝記を読み終わった日はもう、一日中、交響曲2番の一節が頭の中で鳴りっぱなし。
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