昨日予告した通り、シベリウスの交響曲2番について感じたことを少々書いてみます。
昨日の練習で、トレーナー氏は、1楽章のある箇所(具体的には練習番号のK)を指して「ここからシベリウスのクレイジーが露骨に出てきます」と言った。
2番のシンフォニーの1楽章は、基本的に3拍子vs4拍子でできている。基本の拍子は6/4。1小節に四分音符が6個入る勘定だ。指揮は二つぶり、四分音符を前三つ後ろ三つに分け、大きく2拍子としてとらえる。
で、シベリウスは大きな2拍子の1拍の中に音符を3つ入れるときもあれば(つまり普通に音符3個)、無理やり4つ突っ込むこともある。(4連符) すると、前者は3拍子系、後者は4拍子系のメロディということになる。
そして1楽章では、この2種類のメロディが互いに同時進行することがよくある。するとメロディ同士はケンカして当然。なにしろ、基本となるリズムが違うのだから。
この時、シベリウスの狙いは、音の調和にはなく、ケンカが引き起こす緊張感にある。言いかえれば、質の違う2種類のモチーフを提示して、そのぶつかり合いや葛藤を表現しているのだ。
ここまでは、「さすが近代音楽の天才は素晴らしい!」と感激しきりなのだが、さらに3つ目の要素がケンカを売りに来ると、理解不能の領域。それが「K」。
そこでは、各楽器の間で、3拍子vs4拍子の激しいバトルが繰り広げられ、2種類のメロディがいろんな楽器の間を渡り歩いている。
そこでいきなりホルンがシンコペーションを始めるのだ。ホルンのリズムは、一応3拍子系だが、それは6つの四分音符を3つごとにわける3拍子ではなく、6つの四分音符を2つごとに3つの固まりにわける3拍子。
つまり、3拍×2のリズムで進んでいる音楽の中に、2拍×3のリズムで音楽が割り込んでくるわけだ。すでに3拍×2の音楽の中で3拍子vs4拍子の嵐が吹き荒れているというのに。
指揮者も奏者もわけわかりません。
シベリウスの頭の中で何が起きていたかも……。
トレーナー氏によれば、シベリウスのクレイジーさは、他の楽章でもちらちらと顔を出すらしい。
でも私は一奏者として、シベリウスに出会えて嬉しい。狂気の果てまで付いて(憑いて?)いきたいぐらいだ。途中で振り落とされるのがオチだけど。
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