昨日、改めて「売られた花嫁」序曲を聴いた。
やっぱり早いよ。(T_T)
ある程度弾いてから聴くと、その早さがいかに人間離れしているか身に染みて分かる。
クリーヴランド管弦楽団といえども、あまりの早さにやけくそになって弾いているかのように聞こえる。
しかし、この早さがコミカルな味を出しているのも事実で。
(こんなのアマオケに弾かせるなよー、と虚しく叫んでみる)
それで、いったい「売られた花嫁」とはどんなオペラなのかと調べてみた。
まずわかったのは、これがスメタナの代表的なオペラで、非常に評価の高いものであること。
また、「我が祖国」同様に国民主義の色合いが強いこと。彼は、このオペラにチェコ語を使用しているし、(当時のプラハでは、イタリアオペラが主流だったらしい)その他にも「フリアント」というボヘミア地方独特の、非常にアップテンポな舞踏曲を取り入れている。
オペラの筋書きは、もう見事なまでに典型的な喜劇。
農夫の娘マジェンカと、家出中であるものの、本当は大地主ミーハの長男である若者イェニークの恋物語。
イェニークと相思相愛の仲であるマジェンカは、自分の意思に反してミーハのバカ息子(実は次男)ヴァシェクと結婚させられることになっていた。
それに反対すると、「結婚仲介人」なる男が現れてマジェンカを説得しようとするが、当然彼女は拒否する。
すると仲介人はイェニークのもとへおもむき、相当の金額と違う娘を紹介することを条件に、マジェンカとの結婚をあきらめるようにもちかけた。
しばらく考えたイェニークはその条件をのみ、「マジェンカは大地主ミーハの息子と結婚する」という契約書を書く。
イェニークは花嫁を売ったと見せかけ、実は自分の手に入れたのだ。
イェニークはヴィシェクの腹違いの兄であり、継母とうまくいかずに家出したものの、ミーハの息子であることに間違いないのだから。
イェニークの出自を知らない仲介人はそれで話がうまくまとまったと大喜びし、一方その契約書のことを知ったマジェンカはひどくショックを受け、ヴァシェクとの結婚を承諾しそうになるが……という話。
もちろん最後は大団円。
「売られた花嫁」序曲は、第2幕の最後に出てくる「売られた花嫁」の主題を取って作られた。
だから、この疾走するような楽しげなメロディは、花嫁を売ったと見せかけて実は手に入れたイェニークが密かに喜んでいるメロディなわけだ。
ということは、あの難儀な楽譜を、楽しげに弾かなくてはならないのか。
やっぱりスメタナは鬼かも知れない。
節分にはちゃんと豆をまいたはずなのに。
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