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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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新年にヴィオラ・ダ・ガンバの響きを楽しむなど

お正月三が日は、お出かけらしいお出かけはせず、実家の親のところへ顔を見せに行ったり、一度だけごちそうを食べに出かけた程度だっだか、松の内があけてすぐ、成人式の日がからむ連休は少し贅沢をしてきた。

夏に引き続き、またまた大須の「アート空間スカーラ」さんへお邪魔して、ガンバ属の音色を堪能してきた。アンサンブルで使用される楽器は、バスとテナーとトレブルの三種。一番小さくて高音を担当するトレブルの音色は相変わらず美しく、でもバイオリンのように色艶が目立つのではなくて、どちらかというとビオラのA線の音色に近い渋さがあるので嬉しい。

「ヴィオラ・ダ・ガンバの響き」→


ガンバという楽器は大変デリケートで、一曲終わるたびにチューニングをしなくてはならない。チューニングの様子や音もまた心地よいのだが、間を埋めるために、演奏者じきじきに曲目解説が入る。それがまた面白くて興味深い。



曲目は前半はウイリアム・バードやヘンリー・パーセルなどのイギリス系、後半はマラン・マレなどフランスもの中心で。あとは、現代曲がひとつ入っていたのが新鮮で面白かった。

イギリス系はアンサンブルのための曲が多かったようで、音の重ね合わせの妙が楽しめる。正直、曲ごとの違いはあまりわからないのだが、旋律があちこち楽器を渡り歩くさまや、響きの美しさを堪能できる。逆にフランス系は、ソロ演奏用の曲が多くて、ガンバソロ+通奏低音あるいは伴奏というタイプの曲が今回の編成に合わせてアレンジされていた。

じつは、ここで大変興味深いプログラムが登場する。サント=コロンブ、マラン・マレ、ジャック・モレルの曲が連続で演奏されたのだ。この三人は師弟関係だと言われており、ヴィオル(ヴィオラ・ダ・ガンバはフランスへ行くと「ヴィオル」と呼ばれます)の大家として有名なマラン・マレの師匠が、謎の多い伝説のヴィオル弾き、サント=コロンブであり、マレの弟子のひとりがジャック・モレル。
マレやモレルの曲は耳に楽しい華やかさがあるが、サント=コロンブの曲はちょっと他のヴィオル曲とは毛色が違う感じがした。弓使いも他の曲に比べて激しいし変化に富む。この人ちょっと変人だったんじゃないかと思ったが、実際そういう伝説が残っている。
wikiによれば「フランス・バロック音楽の作曲家・ヴィオール奏者。著名な音楽家として名声を博したにもかかわらず、実名や生没年はおろか、生地や家庭についてはほとんど何も知られていない。従ってその生涯についても不明である。おそらくリヨンかブルゴーニュの小貴族の出自ではないかとも言われている。」ということだ。

マラン・マレとサント=コロンブの師弟関係を描いた「めぐり逢う朝」という映画がある。その原作が、パスカル・キニャール作『世界のすべての朝は』であり、たまたま昨年の春に入手する機会があった。その小説によれば、サント=コロンブは妻を失った悲しみが深すぎて、暇さえあれば庭の離れに引きこもってはヴィオルを弾き続けたという。そしてこの世のあらゆる事象を楽器で表現できるようになり、ついには妻の魂を呼び寄せることに成功した。弟子入りを希望したマラン・マレは最初は突っぱねられ、何日も離れに通ったすえにようやっと弟子として認められた。その後、王宮での名声を求めたマレは破門されるのだが、その後さまざまな出来事を経てすっかり年老いた師匠から許しを得るまでがこの物語。


いちおう、画像をアマゾンから引っ張ってきますが、
版元の伽鹿舎さんから購入するほうがお値打ちです


先にこの物語を読んでいたので、サント=コロンブとマレの曲が同時に聞けるというこの演奏会は、そういう意味でも楽しみだった。そして、聞けてよかった。

聞けてよかったといえば、ガンバで現代曲が聞けたこと。てっきりバロック曲のレパートリーしかないものだと思っていたので意外だった。でも、ちゃんと現代ぽい音が出ていて、ガンバ属の可能性に驚いたし、むしろモダン楽器より繊細なので、室内の現代曲には向いているのではないかと感じた。今の時代、大きなホールで大掛かりなな演奏会やオペラも多いけど、小さなスペースで好き者同士が集まって…という流れが各趣味の方面で広がり始めているので、ガンバ属を始めとする古楽器の演奏会も時代の流れに合っているのではないかと感じている。だから、チラシで見かけたような、お寺でコンサートとか、地方の小さなホールでコンサートとか、どんどん流行って欲しい。
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