時々、何の前触れもなく頭の中がある曲に占領されることがある。
それはCMソングだったり、ラジオでしょっちゅう流れてくるポップスだったり、もちろんオケ曲の一節だったりもするのだけど、一度取り憑かれようものなら、延々同じフレーズが頭の中で回り続け、「誰か止めて~!」な状態になる。
そういうフレーズを「耳虫」というのだと、先日テレビでやっていた。
でも、ネットの検索に「耳虫」をかけてみても、そう言う意味での使用例はほとんど出てこない。
それもそのはず、ある現代芸術家が作り出した言葉なのだから。
残念ながら、どこの国のどんな名前の人なのか覚えていない。
でもこのネーミングは言い得て妙だと思う。
で、ここ数日の耳虫は、R.シュトラウスの「メタモルフォーゼン」なのだ。
独立した23の弦楽器パート(つまり23人の弦楽器奏者がいて、一人一パートの世界)で演奏されるこの曲は、第二次世界大戦で失われたドイツ文化に対する葬送曲であり、モチーフとして、ベートーベンの「英雄」の葬送行進曲が使われている。
葬送曲といっても公に依頼されて作られたものでなく、あくまでもシュトラウス本人が己の悲しみを表すために書いた曲である。
もとから好きな曲ではあるが、テーマが重いのと、あまりに大切にしているため、滅多に聴けるものではない。
それが不意に頭の中で繰り返し流れ始める。心当たりは何もないが、ひょっとすると意識の奥底で何かおこっているのかもしれない。
耳虫を退治するには、実際にその曲を聴くのが効果的。
ということで、メタモルを相手にいろいろ考えてみよう。
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