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びおら弾きの微妙にズレた日々(再)

音楽・アート(たまにアニメ)に関わる由無し事を地層のように積み上げてきたブログです。

   

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至福のひととき

2月9日、豊田市のコンサートホールまで、こんなコンサートに行ってきた。

ユーリ・バシュメット&モスクワ・ソロイスツ合奏団
「諏訪内晶子と名匠バシュメット、待望の初共演!! 」

地元のとある公共施設でポスターを目にした時は、「これは美味しい!」と一人で狂喜して、しかも演奏会当日はこの冬一番になるであろう大雪が降って、車を出せずに雪道を駅までとぼとぼあるく羽目になって、一緒に連れて行った子どもたちのヒンシュクを買ったけども、やはり行ってよかった。(もっとも、雪道を歩くなんて体験は滅多にないので、文句を言いつつ喜んでいたようだったが<子どもたち)

取れた席がたまたまバルコニー席の一番奥で、奏者の手元はもちろん、指揮するバシュメット氏の表情を見ながら演奏を楽しめた。まるで自分もアンサンブルに参加しているような楽しさ。

曲目は次の通り

バッハ:ブランデンブルク協奏曲 第3番 ト長調 BWV.1048
モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲
(ヴァイオリン:諏訪内晶子、ヴィオラ:ユーリー・バシュメット)
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ニ長調 K.211
(ヴァイオリン:諏訪内晶子)
ブルッフ:コル・二ドライ Op.47 (ヴィオラと弦楽合奏版)
(ヴィオラ:ユーリー・バシュメット)
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525

アンコール
バッハ:G線上のアリア(弦楽合奏版)
シュニトケ:ポルカ
モーツァルト:ディヴェルティメント(番号忘れました)

合奏団の印象は、まさに「息がぴったり」。例えば、モーツァルトの協奏交響曲やコル・ニドライは、バシュメット氏の弾き降りなので、どうしても指揮で振り切れないところは団員のアンサンブル感覚が頼りになる。曲の緩急とか、呼吸の加減が独特にもかかわらず、一糸乱れぬアンサンブル。ほとんど神業。
あとは、ピアノの音色が素晴らしい。アマとプロの違いはp(ピアノ)の音色にあるとはよく聞く話だが、それを肌で感じた。
内声部(つまりビオラ)が非常に良く鳴っているのは言わずもなが。

バシュメット氏の生の音は、想像していたより華やかだった。共演者の諏訪内さんの影響も、ひょっとしたあるのかもしれないが、CDで聞くよりは華やかで、しかもさりげなく深い音がした。
興味深いのが、ソロ部分の入り方。協奏曲などで、ソロ楽器が入るとき、ソリストは普通、かなり気合を入れて曲の中に入っていくのではないかと思うが、バシュメット氏は、ついさっきまで一緒に弾いてました~みたいな雰囲気で、何気ないふうに曲に乗る。バックの合奏団と溶け合っているようでいて、やはりソロ楽器としての存在感はある。例えば、何気ない単音のロングトーンをピアノの音量で鳴らすだけなのに、その音はものすごく深い存在感を持っている。
バイオリンやチェロが同じように音を聞かせる場合、その音はたいてい外向き、あるいは高いところへ上って行くような印象があるのだけど、バシュメット氏のビオラは深く地中へ潜ってゆく、あるいは空気の中にひっそりと染み渡るような印象。いいもの聞かせてもらいましたわ。

一方、指揮はどうだったかというと、結構適当(笑)。曲に入る直前の予備拍は、細かくきっちり出すけれども、いったん始まってしまうと、あとは流れにまかせて、拍よりも各楽器へのダイナミクスの指示が主体。「はい、そこはビオラもっと頑張って」「ここはコンサートマスター、よろしく頼む」みたいな雰囲気。恐らく、リズムの取り方や緩急の合せ方は普段の練習でみっちりやりこんでいるものと。

曲目については、バロックから古典の曲がほとんど。ブランデンブルグもモーツァルトもすごく面白かった。アンサンブルは完璧だけど、ちょっと型から外れた部分もあって、そこが特に興味深かった。
また、この人たち、実は現代モノも得意そうだなと思ったのは、シュニトケのポルカがすごく面白かったから。
例えばアマチュアでも楽勝で弾けるアイネクライネはなかなかお目にかかれない演奏だった。全体的にはかなり早めのテンポで、その中で強弱の差や緩急の差が思いっきり濃くつけてあって、ロシア風アレンジ? と思ったほどだった。(のだめファンにしかわからないだろうけど、ターニャの弾くチャイコです)
そして、アンコールのG線上のアリア(これもアマチュアにとっては無難に弾ける貴重なレパートリー)は、極上の一品。完璧な和音で聞かせてくれた。

共演者の諏訪内晶子さんについては、初めてソロを聞いたけれども、ものすごくまっすぐでクセのない音だと感じた。バイオリンらしく、張りのある華やかな音なんだけど、決して嫌味が出るほどではない。
モーツァルトの、「バイオリンとビオラのための……」では、タイトル通りにバイオリンとビオラの掛け合いが見せ場になっていて、その見事なこと。ビオラのおじ様がバイオリンのお嬢さんを上手にエスコートしているという雰囲気。二人の呼吸の取り方はピッタリ。どちらがどちらに歩み寄ったのか、そのあたり、物凄く興味が湧くところではある。

ただ、残念なのは、諏訪内さんの音質が合奏団とちょーっとばかり違う……いや、違っていていいのだが、合奏団の伴奏に乗り切れてなかったかな?という点。一人で頑張らなくてもバシュメット氏みたく、もう少し肩の力を抜いてもよかったのでは?と思った。それとも練習時間が取れなかったのかな。数箇所、音を外したところもあったし。

休憩時間にパンフレットを買った。もちろんバシュメット氏のCDも。お約束でしょ、これは。
CDの感想その他については、また後日。濃いメンバーによる、ブラームスのピアノ四重奏ですよ。ふふふ♪
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